歩み寄る[語句情報] » 歩み寄る

「歩み寄る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

歩み寄るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
ラバックはこういう光景を見ると、しばらく戸口にたたずんでいました。が、僕らの前へ歩み寄ると、怒鳴《どな》りつけるようにマッグに話しかけました。 「それはトックの....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ただ狭い家の中をきょろきょろ見廻すよりほかはなかった。素戔嗚は荒々しく若者の前へ歩み寄ると、じっと彼の顔を睨《にら》み据えて、 「おい、貴様は確かにあの娘へ、お....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
にその圏外に逃れることは出来ない。のみならず同心円をめぐるようにじりじり死の前へ歩み寄るのである。 「いろは」短歌 我我の生活に欠くべからざる思想は....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
の上へマベ貝を置いて、椅子に腰掛け、暫くジッと考え込んでいたが、やがて書架の前へ歩み寄ると、鼻先を馬のように蠢かしながら、なにか盛んに書物を漁り始めた。私は、ふ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
かかげ、後房から姿を現わしたのは、一人の威厳のある老人であったが、しずかに戸口へ歩み寄ると、閂を取り扉をあけた。 あけられた戸口からはいって来たのは、担架を担....
カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
『さあ、それなんだがね――』 喬介は振り返って、遠去けてあった矢島五郎の側まで歩み寄ると、傍の警官には眼も呉れず、こう声を掛けた。 『矢島君。さあひとつ、潔く....
夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
シギにためらわなかった。むしろ強い力がオレを押すように思われた。 オレはヒメに歩み寄ると、オレの左手をヒメの左の肩にかけ、だきすくめて、右手のキリを胸にうちこ....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
一人へ眼をつけたが、 「ははあ貴殿か! 貴殿でござろう!」 そっちへツカツカと歩み寄る。 歩み寄られた若侍は、いかさま不破小四郎でもあろう、一際目立つきらび....
おせん」より 著者:邦枝完二
。――」 「お母さん」 おせんは、部屋の隅に立てかけてある人形の傍へ、自分から歩み寄ると、いきなり帯に手をかけて、まるで芝居の衣装着けがするように、如何にも無....
偽刑事」より 著者:川田功
る一人の巡査を眼の前に見付け出した。 「あの、もし」彼女はこう云い乍ら巡査の方へ歩み寄るのであった。 風が街上の塵埃を小さな波に吹き上げて、彼等二人を浸し乍ら....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
直につづく) 船の中なる美しき影。 (女子はFなる魔法使いより離れて、高殿の方に歩み寄る、Fなる魔法使いはそれを凝視し) Fなる魔法使い あの歌の力強い響きは巨....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
の高い松のどの樹にも、天狗が居て、翼を合せ鼻を並べて見物する。親仁は、てくてくと歩み寄ると、閣翁父子の背後へ、就中、翁の尻へ、いきなり服の尻をおッつけるがごとく....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
に其の怪しの者の挙動を窺っていると、光はますます明るくなって、人は次第に窓の方へ歩み寄る、其の人は女、正しく三十前後の女、加之も眼眩きばかりに美しく着飾った貴婦....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
だわ。 皺になった革嚢位なら、 お顔に似合いますでしょう。 ファウスト(歩み寄る。) 実に驚歎に価する。観照だけで満足だ。 醜怪の中に偉大な、力のある趣....
谷にうたう女」より 著者:小川未明
でいる、なごやかな景色が浮かんで見えたのであります。 お嬢さまは、窓のところへ歩み寄ると、はるかに建物の頭をきれいに並べている街の方をごらんになりました。そし....