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「歯並び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

歯並びの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
げると、ニイッと笑った。 「――やっぱし、靴磨きの方がいいわ」 笑うと、奇麗な歯並びが印象的に白かった。一寸すが眼気味の眼元がぱっちりとして、薄汚れているが思....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
に残って居ます、既に鼻などは少しも変る事が出来ん。変れば必ず見劣りがするのです、歯並びなども其の通りで、真に天然の完全に達して居る者をば、其の完全を傷つけずに並....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
れるような気がするのを不思議に思っていた石子は、ふと気がつくと、小林氏の黒ずんだ歯並びの悪い歯の中で上の二本の犬歯、俗に云う糸切歯が勝れて長く、それが口を開く度....
猫車」より 著者:宮本百合子
おいでるが、自分が儲けなんじゃ仕様がないやないか」 瀬戸ものの総入歯の不自然な歯並びを見せて、おさやに目配せするように笑った。自分の富に対する揺がぬ自信と、世....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
シャがた》である。意志! 強いぞ! と云うように、少し厚手の唇を洩れ、時々見える歯並びのよさ、老人などとは思われない。角張った顎も意志的である。顔色は赧く小皺な....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
気はどうだ!」 ファンティーヌに至っては見るも喜ばしい女であった。そのみごとな歯並びは明らかに神から一つの職分を、すなわち笑いを、授かっていた。長い白ひものつ....
魔都」より 著者:久生十蘭
え、あのフォア・グラをちょうだい」 といって加十の鼻の先でアヽンと口を開ける。歯並びのいい、例えば小粒の真珠のような歯の間から、ヒクヒクと動く小さな舌の先が見....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
これくらいにしておいてちょうだい。……お次はなんですか?」 「歯はどうです」 「歯並びはいいほうよ」 「髪は?」 「棒みたい」 「棒って、なんのことです」 「つ....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
えや、のう。」 「あいさ、斬口あ?」 「鈍刀《どす》だ、腕もねえ――さ、口中だ。歯並び、舌の引釣り、勢《せい》があるぞ。」 「若えな。」 「うん。二十二三――四....
グーセフ」より 著者:神西清
と沈む。すると鱶は腹を返して、温かな透明な水に甘えながら、懶げに口をあけて二列の歯並びを見せる。「水先案内」は有頂天だ。その先はどうなることかと、立ち停って見物....
私本太平記」より 著者:吉川英治
は人はいうまい。 けれど好きな顔だ。自分には。 あの糸切歯の辺の一本だけが、歯並びからやや外れて、少し笑うと、珠を噛んでいるようにそれが見える。その唇もとが....
春の雁」より 著者:吉川英治
はってしまった。まだ二十歳を幾つも出ていまいと思われるのに、青い眉と黒豆のような歯並びをしているおかみさんは、 「ホホホホホ。揶揄って上げたんだよ」 と、独り....