歯軋り[語句情報] » 歯軋り

「歯軋り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

歯軋りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
かうとうとと居眠りをした。わいはいま寝てる。昨夜の寝不足がたたって、えらい疲れて歯軋りして寝てる、そんなことを夢うつつに意識しながら、一時間ばかり眼をつむったり....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
と細君のいびきと遠方で下女の歯軋《はぎし》りをする音のみである。この下女は人から歯軋りをすると云われるといつでもこれを否定する女である。私は生れてから今日《こん....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
念を入れて、脂粉の匂いを漂わしているのがいやでたまらぬ、おまけに三好は鼾のほかに歯軋りがはげしくて、かねがね他人と寝室を共にするのを避けているのに、よりによって....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
丸め、突転して力の限り踏みにじり、噛み潰す、火のような亢奮で、脂汗を掻きながら、歯軋りをするのである。 五 皆が、正隆を嫌っていた。それは事実....
美しき月夜」より 著者:宮本百合子
たのである。 一旦右側を下にして倒れたマージーは、やがて必死《デスペレート》な歯軋りと一緒に上半身で飛び上った。 「駄目だ! 駄目だ! もう!」 彼女はいき....
モルモット」より 著者:細井和喜蔵
か? ああ――癪にさわる、癪にさわる、くやしい、くやしい、くやしい。」 彼女は歯軋りするようにこう言って、その日の新聞を引き裂いて了った。そしてますます理性を....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
にある。所で、君はいま、胎龍が三月許り誰にも遇わなかったと云ったね」と尤もらしい歯軋りをして、まるで夢見るように、視線を宙に馳せた。「すると、やはりあれかな。い....
」より 著者:織田作之助
安二郎にその絵を結びつけ、口に泡をためて淫らな話をした。いきなり、豹一はぎりぎり歯軋りし、その絵を破ってしまった。 「何すんねん」 山谷が驚いて豹一の顔を見る....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
書斎へ帰って来た。私と向かって腰を掛けた。だが一言も云わなかった。時々ギリギリと歯軋りをした。 貴金属商の遣って来たのは、それから一時間の後であった。 一枚....
海豹島」より 著者:久生十蘭
慇懃さで、「薬罐はストーブの横にある」といいながらクルリと向うをむいてしまった。歯軋りする音がきこえた。 狭山にたいする高圧的な態度は、ひっきょう虚勢にすぎな....
魔都」より 著者:久生十蘭
男です」 嘘か本当か知らないが、こんなことをいって悠々と出て行った。 局長は歯軋りしながら後ろ姿を睨みつけていたが、無念骨髄といった面持で総監と顔と見合せ、....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
が、頭は働く。口惜しくて腹の中が煮えくり返りそうだが、顎の筋まで痺れたとみえて、歯軋りすることさえ出来やしない。 それからひと刻。 ようやく手足がすこしずつ....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
お助けを……」 頭を掻きながら、ありようを手短かに語り、 「情けねえ話ですが、歯軋りをしながら、杉の市をしょっぴいて来て、調べて見ると……」 「……杉の市じゃ....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
取上げて了ったので有った。一体何寺の何んという坊主だろう。憎さも憎しと竜次郎は、歯軋りをして口惜しがった。併し新利根川の堀割を隔てているのて、如何する事も出来な....
醤油仏」より 著者:吉川英治
見のくせに、取られたからって、餌乾になったキリギリスみてえに、いやにひッそりして歯軋りを噛んでる奴があるものか」 「もう、懲りました。口惜しくッて堪りませんが、....