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「歳々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

歳々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
春昼」より 著者:泉鏡花
の中へ糸を引くのが、月影に光って見える、蜘蛛が下りた、) と大気※じゃ。 (万歳々々、今夜お忍か。) (勿論、) と答えて、頭のあたりをざぶざぶと、仰いで天....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ともある。そのほかにいろいろの双六も絵草紙屋の店先にかけられる。そのなかには年々歳々おなじ版をかさねているような、例のいろは短歌や道中|双六のたぐいもあるが、何....
我家の園芸」より 著者:岡本綺堂
に野生の薄である。これは宿根の多年草であるから、もとより種まきの世話もなく、年々歳々おい茂って行くばかりである。野生のすすきは到るところに繁茂しているので、ひと....
時 処 人」より 著者:岸田国士
きり書きあげるのが定石である。 私はいま、ここで脚本を書くつもりはないが、年々歳々、違つた場所で正月を迎えるのが例のようになつてしまつた私の年頭感は、まず、あ....
鮎を食う」より 著者:北大路魯山人
また、獲り方の如何で味も変る。岐阜の人は鵜に呑ませたのが一番いいと言って、年々歳々うるさいまでに自慢を繰り返している。それは鵜が鮎を瞬間に即死させるために、生....
名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
は言へぬけれど、どうも名古屋は近代化しにくい性質らしい。 とはいふものゝ、年々歳々、たえず変化はしつゝあるのだ。昭和三年には、昭和三年らしい色彩がある筈だ。そ....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
野も、この古の道の支線の一ツだ。伝に曰く、役の行者がひらいた道さ。そして今も年々歳々山伏の通る道である。この地帯は山伏の聖地である。吉野には蔵王堂があって、この....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
の統領たる本来の面目を失わないのは豪気《ごうき》なものです。 と言うのは、年々歳々、日を追うて次第に士風の遊惰に傾くのを痛嘆いたしまして、士気振興武道奨励の意....
老狸伝」より 著者:佐藤垢石
丸から三の丸へ引っ越さねばならぬありさまであったという。 だが利根の激流は年々歳々、勢いを増してきて、城壁は崩れて底止するところを知らない。ついに、三の丸も危....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
て、また必ずしもおくれをとるものではないと思います。 今日まで百貨店からは年々歳々欧米に人を派遣して、それぞれの研究をしているにかかわらず、個人商店からは少し....
もの思う葦」より 著者:太宰治
部で六十数円である。 けれども、私は、信じて居る。この短篇集、「晩年」は、年々歳々、いよいよ色濃く、きみの眼に、きみの胸に滲透して行くにちがいないということを....
天災と国防」より 著者:寺田寅彦
像される。そうして、野生の鳥獣が地震や風雨に堪えるようにこれら未開の民もまた年々歳々の天変を案外楽にしのいで種族を維持して来たに相違ない。そうして食物も衣服も住....
春六題」より 著者:寺田寅彦
おのずからきまった平均の径路がある。それが週期的ないし非週期的の異同の波によって歳々の不同を示す。 この平均温度というものが往々誤解されるものである。どうかす....
私の個人主義」より 著者:夏目漱石
通り越せなかったのです。その苦痛は無論|鈍痛《どんつう》ではありましたが、年々|歳々《さいさい》感ずる痛《いたみ》には相違なかったのであります。だからもし私のよ....
自警録」より 著者:新渡戸稲造
きはかえって年々増殖する。すなわち柔和なる動物がこの世を継いで、烈しい猛獣は年々歳々にその跡を絶ちつつある。人間においてもまたそうと思う。野蛮時代には武《ぶ》ば....