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歴然
「歴然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
歴然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
よそこのくらいな胴中《どうなか》の長虫がと思うと、頭と尾を草に隠して、月あかりに
歴然《ありあり》とそれ。
山路の時を思い出すと我ながら足が竦《すく》む。
婦....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
さが》ると、近山《ちかやま》の背後《うしろ》に海がありそうな雲を隔てて、山の形が
歴然《ありあり》と見える。…… 汽車が通じてから、はじめて帰ったので、停車場《....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
のだと思う。いいかね、南方からだ。君のいうように北方からではない。そしてそれには
歴然たる証拠がある」 「ほう、全く正反対の説だ。で、その
歴然たる証拠とはどんな事....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
くなるまで、眉の根がじりりと寄って、 「大きに、お世話だ。酒井俊蔵と云う父親と、
歴然とした、謹(夫人の名。)と云う母親が附いている妙の縁談を、門附風情が何を知っ....
「妖術」より 著者:泉鏡花
でも、本堂からは、門をうろ抜けの見透一筋、お宮様でないのがまだしも、鏡があると、
歴然ともう映ろう。 「御迷惑?」 と察したように低声で言ったのが、なお色めいた....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
容易なことではうち破れません。宣戦布告のない戦争です。敵の戦線は、現に帝都の中に
歴然と横たわっているのです。 しかも敵影は巧みにカムフラージュされて、我々はそ....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
く身に覚えがないのに、このように姙娠してしまったのである。乳首は黝ずみ、下腹部は
歴然と膨らみ、この節ではもう胎動をさえ感ずるようになった。婦人科医の診断もうけた....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
◯今夜の清瀬一郎氏の放送の要旨。「原子爆弾が人道に反し、国際条約に反することは
歴然たり。こういうものを使用せる者こそ、戦争犯罪者であると思うが、それをどう処置....
「人造人間事件」より 著者:海野十三
じゃないが、とにかくこの人造人間の右の拳には博士の顔を粉砕したかもしれない証跡が
歴然と残っている」 と検事は云った。 「こいつが生きている人間だったら」と大江....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
、溝から這上った蛆の、醜い汚い筋をぶるぶると震わせながら、麸を嘗めるような形が、
歴然と、自分が瞳に映った時、宗吉はもはや蒼白になった。 ここから認られたに相違....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
途中すがらもその若い人たちを的に仏名を唱えましょう。木賃の枕に目を瞑ったら、なお
歴然、とその人たちの、姿も見えるような気がするから、いっそよく念仏が申されようと....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
その、空に浮出したような、水に沈んだような、そして幻のような、そうかと思うと、
歴然と、ああ、あれが、嬰児の時から桃太郎と一所にお馴染の城か、と思って見ていると....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
に、障子の紙に描かれた、胸白き浴衣の色、腰の浅葱も黒髪も、夢ならぬその我が姿を、
歴然と見たのである。 十七 しばらくして、浦子は玉ぼやの洋燈の心....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
、色の白い、髪の濃い、で、何に結ったか前髪のふっくりとある、俯向き加減の、就中、
歴然と目に残るのは、すっと鼻筋の通った…… ここまで来ると、この家の細君の顔で....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
肉を刺す。……撫肩に重荷に背負って加賀笠を片手に、うなだれて行く細り白い頸脚も、
歴然目に見えて、可傷々々しい。 声を掛けて、呼掛けて、しかも聾に、大な声で、婦....