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死所
「死所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
死所の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「乞食学生」より 著者:太宰治
だって、惜しくないからだである。救えないまでも飛び込み、共に死ななければならぬ。
死所を得たというものかも知れぬ、などと、非論理的な愚鈍の事を、きれぎれに考えなが....
「阿部一族」より 著者:森鴎外
往生院は上《かみ》のご由緒《ゆいしょ》のあるお寺だというのではばかって、高琳寺を
死所《しにどころ》ときめたのである。五助が墓地にはいってみると、かねて介錯を頼ん....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
起重機が軋み、刑事に追われた泥棒が走り、ゴミ箱に睡るルンペンの心臓がハタと停り、
死所を求めて彷徨う家出人が大金の入った蟇口を拾い、硝子壜に白い牛乳が一杯詰められ....
「死生」より 著者:幸徳秋水
生命よりも重しと信ずる或物の為めに、力の限り働らきて倒れて後ち已まんことは、先ず
死所を得たもので、其の社会・人心に影響・印象する所も決して浅からぬのである。是れ....
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
をきて、髪を結び、髭を剃って、少し蒼白くなった顔をして、微笑していた。 (士は、
死所を選ばねばならん。生前に志を行い、死を以て又志を行う――見物共は、物珍らしさ....
「山上湖」より 著者:豊島与志雄
んでる部落にすぎない。三日前、私達はそこへ行ってみた。私としては、もしこの湖水が
死所となるなら、この湖水の神社というものも見ておきたかったのである。 神社は普....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
為十郎の姿を見たかと思うと、内部から唸きの声が洩れてきた。 この事件の悪鬼は、
死所を奈落に択んで、多量の青酸を嚥下したのだった。 しかし、村次郎はじめ一座の....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
れは日本式尊の白鳥伝説とカラの墓にも似ているし、五瀬命やスクナが矢で殺されて後、
死所や墓所がハッキリせず、伝わる
死所と墓所の位置とが離れているのにも似ている。 ....
「春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
まなかった。されば自分は、直ちに社長就任を快諾した。即ちこれは七十余歳の老骨に、
死所を与えられたものである。死華であろう。これからは、この痩躯に鞭うって報知社再....
「旅の旅の旅」より 著者:正岡子規
」など膝つき合わす老女にいたわられたる旅の有り難さ。修禅寺に詣でて蒲の冠者の墓地
死所聞きなどす。村はずれの小道を畑づたいにやや山手の方へのぼり行けば四坪ばかり地....
「三国志」より 著者:吉川英治
あった。しかし関羽は、 「人間五十に達すれば、吉夢もなし、凶夢もなし。ただ清節と
死所にたいして、いささか煩悩を余すのみ」と、いって笑った。 曹仁の大兵は、怒濤....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
」 「お母あさま」 「……どうしようぞ」 ふたりは、こう呼び合ったきりだった。
死所は一つにと、もう誓うように、覚一は母の手をさがす……。 女は、眼をそらした....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
であろう。また今日、立ち帰って来た出屋敷の危急を見て、頼春が、「こここそ、自分の
死所」とばかり、われから捕吏に身をまかせて、捕われて行ったことなども、つぶさに告....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
柱と柱しか見えない洞然たる地下室をながめ廻して、官兵衛は、 「さて、ここか、俺の
死所は」 と、ようやく心の平かなるものを同時に見出したここちがした。 苦境に....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
しい最後をお遂げなされし西田神父様、玉屋神父様。神父様方こそ司祭として、まことの
死所を得給いしものと言うべく、汚れなき小羊として選ばれし多くの霊魂を率いて天国に....