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「残像〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

残像の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
るのである。 要するに、「いき」な色とはいわば華《はな》やかな体験に伴う消極的残像である。「いき」は過去を擁して未来に生きている。個人的または社会的体験に基づ....
過古」より 著者:梶井基次郎
てどれだけの照力を持っていたか、彼ははじめて知った。火が全く消えても、少しの間は残像が彼を導いた―― 突然烈しい音響が野の端から起こった。 華ばなしい光の列....
のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
あったことにちがいないと思うのだったがそれが思い出せなかった。また吉田は「自己の残像」というようなものがあるものなんだなというようなことを思ったりした。それは吉....
地球盗難」より 著者:海野十三
ように天空高く舞いあがった。後には幅の広い大火柱が眼底にいつまでもハッキリとした残像を刻みつけたのだった。 「おお、この火柱だ!」 と大隅学士は吾にもなく、高....
白妖」より 著者:大阪圭吉
かと見れば直ぐに消え、やがてまた浮きあがり直ぐに消え、見る人々の眼の底に鮮やかな残像をいくつもいくつもダブらせて行くのだった。 「偶然の悪戯ですよ」大月氏が云っ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の内外に光度の差がはなはだしいことが、彼に時として、偶然にしてはあまりに不思議な残像を見せる場合があった。そして、あげくに幻聴を聴くほどの症状になったと云うのは....
自画像」より 著者:寺田寅彦
顔だという事がわかるくらいに現われたり消えたりした。生理光学でよく研究されている残像という現象はあるが、それは通例実物を見つめた後きわめて少時間だけにとどまるし....
連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
だよくわかっていないのであるが、ただ甲が残して行った余響《ナハクラング》あるいは残像《ナハビルド》のようなものと、次に来る乙との間のある数量的な関係で音の協和不....
庭の追憶」より 著者:寺田寅彦
帰って来ない。それでもまだしばらくの間は生き残った肉親の人々の追憶の中にかすかな残像のようになって明滅するかもしれない。死んだ自分を人の心の追憶の中によみがえら....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
るのです。そうなると回転刀はあそこに静止しているように見えます。元来人間の眼は、残像時間が相当永いので、一秒間に二十四回以上断続する光は、それが断続するとは見え....
鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
どうしていいか分らず、結局その場にへたへたと坐りこんでしまった。 ふしぎな残像 「風間さん。あれは、人間の眼が、いかに残像にごま化されているかという証明に....
四次元漂流」より 著者:海野十三
かと疑った。だが神経のせいではないらしい。雪子の姿がしきりに消えるときには、眼の残像現象の理により、雪子の姿と、雪子のかけている椅子の背中とが重なり合って、まる....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
遊び女のリサであった。それからまだその頃は東京に残して来た若い妻も新吉のこゝろに残像をはっきりさせていた。かえってそれが新吉の心にある為めに、フランスの二人の女....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
形のものを置いて、その上を、紗のようなものでかぶせると、取り去ったとき、かえって残像が、白地のほうに現われて黒く見えるのである。 また、それには、光のずれのこ....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
言葉もなく翁の姿を凝視めている。 あたりは次第に暗くなって行く。…… 翁の姿は、残像のように、夕闇の中に取り残されている。…… 山鴿が遠近で、急に申し合わせたよ....