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残務
「残務〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
残務の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
二 御通行後の混雑も、一つ片づき、二つ片づきして、馬籠宿としての会所の
残務もどうにか片づいたころには、やがて一切のがやがやした声を取り沈めるような、夕....
「舗道」より 著者:宮本百合子
はいなかった。 この頃になって××○○会社の女事務員たちの間に不平が出て来た。
残務が目立って殖えて来たのだ。××○○会社は満州に重要な姉妹会社をいくつも持って....
「道標」より 著者:宮本百合子
ころで、二人の労働者が労働大学の看板を太い繩で歩道へつりおろしている最中だった。
残務整理のために一、二脚の椅子と一つのテーブルだけをのこしてとりかたづけられた受....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
かってもよう分るまいて……」 豊田村から又二里近い山下の国民学校に移った本部の
残務整理責任者は、つや子に向って、石田直次軽傷と記入されている一冊の帳簿を開いて....
「物理学と感覚」より 著者:寺田寅彦
の科学の所得は、すでに科学の究極的に獲得しうるすべての大部分であると考え、吾人の
残務はただそこかしこの小さい穴を繕うに過ぎぬと考えればプランクの説はもっともと思....
「ロンドン一九二九年」より 著者:宮本百合子
が一人廊下を歩いている。階下の戸を開けっ放した室で年とった四角の体の男が時々来て
残務整理をやった。 ――御承知のような現状で坑夫組合はこの学校で三十人前後教育....
「橋」より 著者:池谷信三郎
いがけない高い所に、たった一つ、灯がはいっているのです。あすこの事務室で、きっと
残務をとっている人々なのでしょう。僕は、…… ――まあ、お饒舌りね、あんたは。ど....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
なったのは少し意外であった。 前知事の去られてからの藩庁は大少参事で暫く藩政の
残務を扱って、新に命ぜられる、県官の赴任を待ち引続きを為すという運びになった。け....
「白蛾」より 著者:豊島与志雄
でありまして、終戦の翌年の四月の末、彼が仏印から帰って来ました時には、もう大体の
残務整理もついていて、ただつまらない些末な仕事と、何年先に出来るか分らぬ貿易事業....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
で、洩るるはなき鹵簿であったが、俊基朝臣だけは、天皇のお還幸を仰いだ後も、あとの
残務にとどまるものと見せて、じつは飄然、絵所の一絵師と名のって、その旅姿を、ひと....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
しあたっての焦慮だった。 やっと、先帝の島送りもすみ、加茂の祭りも終って、まだ
残務も多いが、 「ひとまずは」 と、ほっとしかけたところなのだ。 もっと、い....
「父の葬式」より 著者:葛西善蔵
の名義の書き替えは、やはりここの登記所ですませねばならなかった。それだけが今度の
残務だった。 「登記所の方がすんだら、明日はどうしましょうか」 「そうねえ、こん....