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殷賑
「殷賑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
殷賑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河明り」より 著者:岡本かの子
談を云った。 官庁街の素気なく白々しい建物の数々。支那街の異臭、雑沓、商業街の
殷賑、私たちはそれ等を車の窓から見た。ここまで来る航行の途中で、上海と香港の船繋....
「縮図」より 著者:徳田秋声
駅から二丁ばかり行った通りにあった。その辺には洋食屋やカフエ、映画館などもあり、
殷賑地帯で、芸者の数も今銀子のいる東京のこの土地と乙甲で、旅館料理屋兼業の大きい....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
九州諸方から京洛への要衝の地であったから、政治上交通上経済上に大発達を遂げて愈々
殷賑を加えた。大内は西方智識の所有者であったから歟、堺の住民が外国と交商して其智....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
しかもそれは、途中|互にもの言うにさえ、声の疲れた……激しい人の波を泳いで来た、
殷賑、心斎橋、高麗橋と相並ぶ、天満の町筋を徹してであるにもかかわらず、説き難き一....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
うできたない食を喫したのち、私たちは不可解な腕車をつらねて、喧騒と臭気と極彩色と
殷賑と音響のなかを大通りキタイスカヤ街へ出た。途中、笛と跫音と泣き女のいとも哀し....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
特有の白眼と冬の陽ざしと煤けた建物の並立とでごく儀式的に迎えてくれた。なんという
殷賑な、そして莫大な田舎町であろう! これが私の組織を電閃し去った正直な第一印象....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
れている。 あ! なかまだ! 三台の飛行機! 二つは上に、ひとつは下に。AH!
殷賑をきわめる空の交通整理よ! 行ってしまった。 BUMP! 空の波だ。 一....
「高千穂に思う」より 著者:豊島与志雄
を誘う。この種のものを、東京の都市は、各処に数多く持っている。官庁街と事務所街と
殷賑街とを除いて、東京が一種の村落都市と云われる所以である。そして近来、村落都市....
「北京・青島・村落」より 著者:豊島与志雄
輔仁大学の建物も、この勢威を無視することは出来なかった。 ところで、天壇は市の
殷賑地区から遠い一隅にあるが、紫金城は市の中央にあって、その周囲にはまた至るとこ....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
くに、近代的な高層建築の百貨店が出来ていたが、この方は至って淋しく、この大市場は
殷賑を極めており、興味ある対照をなしていた。 聞けばこの市場の販売力は、北京住....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
手に付かなくなりだした。 尾道へ! と私は思った。南の海のほとりの尾道。商業
殷賑な、花やかな港街、美しい島々と山の上の寺々。風光明媚な玉の浦の名は祖母から幾....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
総支配として進駐し、近国に勢威ならぶ城主がなかったのである。したがって厩橋城下は
殷賑を極め、武士の往来は雑|鬧し、商家は盛んに、花街はどんちゃん騒ぎの絶え間がな....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
肴に自分の出世を誇りたいからであった。一時はひっそくしかけていた鉄工所も事変以来
殷賑を極めて、いまはこんな身分だと、坂田を苛めてやりたかったのである。が、さすが....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
。それから活動小舎がある。絵看板がある。幟が並ぶ。銀座と六区とを一つにしたように
殷賑である。 「縁日だね。」 という間に何か公園の入口らしいところで自動車が停ま....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
のだったが、それから以後次第にそれなりに、私のいわゆる神楽坂プロパーと等しなみの
殷賑を見るに至り、なお次第に矢来方面に向って急激な発展をなしつつある有様である。....