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殺風景
「殺風景〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
殺風景の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ってしまった。粟野さんは彼の机の向うに、――と云っても二人の机を隔《へだ》てた、
殺風景《さっぷうけい》な書棚《しょだな》の向うに全然姿を隠している。しかし薄蒼《....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
くさ》のある活動写真館のピアノを弾《ひ》いているのですから。
主筆 それは少し
殺風景ですね。
保吉
殺風景でも仕かたはありません。達雄は場末《ばすえ》のカフ....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
一隻の奇妙な恰好をした船が入って来て、町の人々の目をみはらせた。いやに四角ばった
殺風景な船で、甲板の上には橋梁《きょうりょう》のようなものが高く組んであり、後甲....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
くいえば「自由退社をあえてするものにはふたたび立つあたわざる致命傷を与う」という
殺風景な文句となるのである。 しかし、我々の場合はまだいい。不幸引退のやむなき....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
に一つさびしく立っている四角な白い建物だった。外から見ると、かざりもなんにもない
殺風景な建物であったが、玄関からなかへはいってみると、家具などがなかなかりっぱで....
「骸骨館」より 著者:海野十三
背の高い工場が、六万坪という広い区域に一定のあいだをおいて建てられているところは
殺風景そのものであったし、それにこのごろになって壁は風雨にうたれてくずれはじめ、....
「火星兵団」より 著者:海野十三
であった。もちろん二つの時計は、どっちも動いていなかった。
千二は、この部屋の
殺風景さに、ひどく驚いたようであった。
「先生、この部屋は、何だか、気味のわるい....
「大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
でも、ようやく二人の触角は、ぴったりふれあった。 「やあ、三郎。月の世界って、
殺風景だね。まるで墓場みたいじゃないか」 「それはそうさ。生物一ぴきいないところ....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
入って驚くのを、おかしがって、何、牡丹のひたしものといった処で、一輪ずつ枝を折る
殺風景には及ばない、いけ花の散ったのを集めても結構よろしい。しかし、贅沢といえば....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
と抜ける、女郎を気絶さした腕に見える。」 「腰の髑髏が言わせますかね。いうことが
殺風景に過ぎますよ。」 「殿様、かつぎたまうかな。わはは。」 と揺笑いをすると....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
して居りますが、天狗の世界はそれに引きかえて、どんなにも一|本調子、又どんなにも
殺風景なことでございましょう。天狗の生活に比べたら、女人禁制の禅寺、男子禁制の尼....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
筒を逆さまにすると色とりどりのポジがヒラヒラと寝台の毛布の上に舞い落ちるのは私の
殺風景な兵営生活にただ一つの色彩であつた。 その翌年にも演習召集で三週間服役し....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
た文化は田舎侍の跋扈するままに荒され、江戸特有の遊里情調もまた根底から破壊されて
殺風景なただの人肉市場となってしまった。蓄妾もまた、勝誇った田舎侍が分捕物の一つ....
「西航日録」より 著者:井上円了
みな赤土を現出し、往々石骨を露出し、一つとして樹木の鬱蒼たるものなく、満目荒涼、
殺風景を極む。あたかも東洋諸邦の形勢を写出せるがごとし。しかるにシンガポールに至....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
汽車に駕して、ブリズベーン市に至る。途上田野を一望するに、概して赤土荒原にして、
殺風景を極むるが、すべて牛馬の牧場なり。その間に木造トタンぶきの家屋点在す。一階....