母家[語句情報] » 母家

「母家〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

母家の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
そう》のように丸まっていた。そんなことまで清逸の眼についた。 突然清逸の注意は母家《おもや》の茶の間の方に牽《ひ》き曲げられた。ばかげて声高な純次に譲らないほ....
守の家」より 著者:伊藤左千夫
のびて白い花が見えた。庭はまだ片づいていてそんなに汚くなかった。物置も何もなく、母家一軒の寂しい家であった。庭半分程這入って行くと、お松は母と二人で糸をかえして....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
十坪で、高い板塀に囲まれた内部には診察室、薬局、院長夫妻その他家人の起居する所謂母家と、くの字に折曲った一棟の病舎が百五十坪程の患者の運動場を中に挟んで三方に建....
自叙伝」より 著者:大杉栄
てばたばたと逃げだして行った。 ていのいい座敷牢にあったのだ。 が、飯だけは母家の方へ行ってみんなと一緒に食った。みんなは黙ってじろじろ僕の顔を見ているし、....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
氏は「や、種蒔くが来た」と突然顔面を硬直させて立ち上った。 某日。――夜ふけて母家へ時計を見に行くと、麻川氏が一人、応接間の籐椅子に倚って新聞を読んで居た。私....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
みを忘れてぐっすり眠りつづけた。 翌日、やっと一軒の疎開後の空屋に父母姉妹と叔母家族と一しょに移り住んだ。七人の遠い親類は田舎の方へ別れて行った。空虚な生活が....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
通り過ぎると、広大な裏庭になっていて、離れ座敷に相違ない、三間造りの建物があり、母家と渡り縁で繋がれていた。 その建物の中の部屋の、襖の前まで来た時である。 ....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
れた姿の男が入って来ました。これは繼立の仁助という胡麻の灰でございます。 仁「お母家か」 という声を聞くより早く、おかく婆アは飛出し、突然仁助の胸倉を取り、横....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
から身を隠すという嬉しさに、横になって寝た。 「家が明けるとすぐ、隣りあっている母家を検分して、わたしが見つけたこの住まいにずっと居られそうかどうかをさぐるため....
あたまでっかち」より 著者:下村千秋
てしまったような気持を、きれいに忘れてしまいました。 林太郎はしろ公をつれて、母家のまわりをかけまわりました。米倉のまわりもかけまわりました。入江のふちの道も....
屋根裏の犯人」より 著者:坂口安吾
ましたよ。鼠がひいて持ってッたのさ」 「フン。私の隠居家は別棟になっているのに、母家の屋根裏からでるとはフシギじゃないか。そんな遠歩きする鼠の話はこの年になるま....
百喩経」より 著者:岡本かの子
をして巻子の実家に対する親愛の念を満足せしめたか、彼は頬のふくれ返った微笑の顔を母家の方へ向けた。途端に巻子が帰って来た。提げた庭下駄を下に並べる間もなく作太郎....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
のがっしりした穀倉、物置、その他雑多な建物の一方に、往還に向って構えられた大きな母家……槻や欅や、裏山に繁る杉の古木に囲まれて、このM盆地の開拓者の誇りを、それ....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
えることでなかった。壊れた外廻りの垣根から、廃屋を取毀したあとの整理、井戸浚い、母家の修繕……と数え立てると眼前に待っている仕事だけでも限りがない気がする。机の....
血の盃」より 著者:小酒井不木
れとも蝋燭の光のためか、幾分か蒼ざめて見えた。花婿の良雄も常になく沈んで見えた。母家の方からは、出入りのもののさんざめく声が頻りに聞えた。 いよいよ三々九度の....