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母屋
「母屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
母屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老年」より 著者:芥川竜之介
意気地がありませんからな。」
そこで一緒に小用《こよう》を足して、廊下づたいに
母屋の方へまわって来ると、どこかで、ひそひそ話し声がする。長い廊下の一方は硝子障....
「或る女」より 著者:有島武郎
にいて、ながめが美しかったが、葉子は垣根《かきね》越しに苔香園《たいこうえん》の
母屋《おもや》の下の便所らしいきたない建て物の屋根を見つけて困ったものがあると思....
「火事とポチ」より 著者:有島武郎
むりとが別々になって、よじれ合いながらもくもくと立ち上っていた。
「安心なさい。
母屋《おもや》は焼けたけれども離《はな》れだけは残って、おとうさんもおかあさんも....
「星座」より 著者:有島武郎
をふりながら座を立ち上った。
純次は何事も知らぬげに寝つづけていた。
石油を
母屋《おもや》まで取りに行くにはいろいろの点で不都合だった。第一清逸は咳が襲って....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
、絶えず物の崩るる様な響、遠く家を離れてるという感情が突如として胸に湧《わ》く。
母屋の方では咳《せき》一つするものもない。世間一体も寂然と眠に入った。予は何分寝....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
はね、それにね、頃日は、家族主義の事に就いて、ちっと纏まった著述をするんだって、
母屋に閉籠って、時々は、何よ、一日蔵の中に入りきりの事があってよ。蔵には書物が一....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
をいうと、北を表に県道を前にした屋敷構えである。南の裏庭広く、物置きや板倉が縦に
母屋に続いて、短冊形に長めな地なりだ。裏の行きとまりに低い珊瑚樹の生垣、中ほどに....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
う岸の萩の根に、一人乗るほどの小船が見える。中洲の島で、納涼ながら酒宴をする時、
母屋から料理を運ぶ通船である。 玉野さえ興に乗ったらしく、 「お嬢様、船を少し....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
につけ、余所の娘の臨月を、出て行けとは無慈悲で言われぬ。ただし廂を貸したものに、
母屋を明渡して嫁を隠居所へ引取る段は、先祖の位牌へ申訳がない。私等が本宅へ立帰っ....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
えるんです。」 と云った。私たち二人は、その晩、長野の町の一大構の旅館の奥の、
母屋から板廊下を遠く隔てた離座敷らしい十畳の広間に泊った。 はじめ、停車場から....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
顰め、水底へ深く入った鯉とともにその毛布の席を去って、間に土間一ツ隔てたそれなる
母屋の中二階に引越したのであった。 中二階といってもただ段の数二ツ、一段低い処....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
とも、今浴衣を持って来て、 (私もちょいと失礼をいたしますよ。) で、貴婦人は
母屋へ入った――当分離座敷に一人の段取で。 その内に、床の間へ目が着きますとね....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
小川に注いでいた。その小川は、はんの木や小さな柳のあいだをさらさらと流れている。
母屋のすぐそばに大きな納屋があり、教会にしてもよいくらいだった。どの窓からも、ど....
「画室談義」より 著者:上村松園
を建ててから思えばもう二十幾年、当時まだ息子の松篁は十三歳であった。 画室は、
母屋とは廊下続きの離れの形式になっており、南向きの二階建てで、東、西、南の三方は....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
糖になってしまいます。」と真顔でさも思い入ったように言った。お若はこの人を廓なる
母屋の客と思込んだものであろう。 「私は、そんな処へ行ったんじゃあないんです。」....