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「毒口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

毒口の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
取り合わなかった。姉はすぐに怒り出した。そうして父に背を向けたまま、口惜しそうに毒口《どくぐち》を利《き》いた。 「たんと慎ちゃんばかり御可愛《おかわい》がりな....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
っともこのほかに下げているのは、石塊《いしころ》同様の玉ばかりだが。」 若者は毒口《どくぐち》を利きながら、しばらくその勾玉を弄《もてあそ》んでいたが、自分も....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
お若もわきを向いていてほとんど挨拶もしないばかりか、豊吉は時どき当てこすりらしい毒口《どくぐち》さえ放った。それも畢竟《ひっきょう》は屋敷の物堅い掟《おきて》を....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
の飼育商や、素人飼育家を隈なく尋ねた。覗った魚は相手が手離さなかった。すると彼は毒口を吐いてその金魚を罵倒するのであった。 「復一ぐらい嫌な奴はない。あいつはタ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は恋なし、財産があるから恋ありと言わば言うものよ、ははははは」 主膳は憎らしい毒口を吐きかけました。幸内の口は声の立てられぬように薬を飲ませられてしまったけれ....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
様な音が出る? ヤレ愛国だの、ソレ国難に殉ずるのという口の下から、如何して彼様な毒口が云えた? あいらの眼で観ても、おれは即ち愛国家ではないか、国難に殉ずるので....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
つ、飲む、買うの三道楽に身がおさまらず、さんざん一家を手こずらせたあとで、主家に毒口を叩いて出ていった、弁公という若者が、つい、内藤新宿のある小賭博《こばくち》....
沈黙の塔」より 著者:森鴎外
ントは別として、ショオペンハウエルは母親と義絶して、政府の信任している大学教授に毒口を利いた偏屈ものである。孝子でもなければ順民でもない。ニイチェが頭のへんな男....
行く可き処に行き着いたのです」より 著者:宮本百合子
家出をしたからとはいえ、「我儘者だ」とか「何も取柄のない女だ」などと平気でそんな毒口をきくような良人との間に、どうして純粋な清い愛があったといえましょう。こうい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
つ》な軽侮《けいぶ》を米友の上に加えました。 女軽業の美人連は興に乗って米友に毒口を利きました。こんな毒口は楽屋うちで言い古されている毒口でしたけれども、単純....
黒百合」より 著者:泉鏡花
事で好い位な考えで、俵町から滝太郎を。 一昨日来るぜい、おさらばだいと、高慢な毒口を利いて、ふいと小さなものが威張って出る。見え隠れにあとを跟けて、その夜金竜....
お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
か仕なさいましたね。 まるで三春の馬車屋っても有りゃしない。 「何だね、そんな毒口を叩いて。 彼れだって主人格な男なんだよ、お前から見れば。 そんなにつけ....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
にあまりに洪大に拡がり、ゆけどもゆけども、おぼろに怪しい一片の雲にすぎぬあなたの毒口の上を蔽うてやまぬからだと弁解しながらね。……で、しっかり覚えておいていただ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
の手代にたのんで、婆の後から尾いて行く。 気になるとみえ、婆は振り顧って、また毒口でも放ちたいような顔をしたが、 「――おばば、おばば」 樹蔭から小声でよぶ....