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毒血
「毒血〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
毒血の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
》も悔ゆる事を知らなかった。彼は周密なる思慮を率《ひき》いて、満腔《まんこう》の
毒血を相手の頭から浴びせかけ得る偉大なる俳優であった。もしくは尋常以上の頭脳と情....
「明暗」より 著者:夏目漱石
田は小林の得意が癪《しゃく》に障《さわ》った。此奴《こいつ》が狗《いぬ》のような
毒血を払ってはたして何物を掴《つか》んでいる? こう思った彼はわざと軽蔑《けいべ....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
には馴れているとみえて、すぐに主人の痛んでいる指のさきに口をあてゝ、その疵口から
毒血をすい出しました。それから小切を持ち出して来て、指の附根をしっかりと縛りまし....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ち主! あれは人間とは云われません」 「……俺も最後にはあそこへ行こう。そうして
毒血を絞られよう」 「いいえ」と月子は厳かに云った。「富士教団へおいで遊ばせ! ....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
駕籠の真ん中を突き刺した。恐ろしい呻り声が駕籠を揺さぶった。祖父江出羽の赤い煩悩
毒血が、赤い駕籠を赤く染めて、まるで噴き出すように散った。 こうして三人の煩悩....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
ければ――」
「なりませぬと申すに!」
と、五助が、やわらかな肉体との接触に、
毒血が沸き立ったように、
「浪路どの、子供だ子供だと思ううちにいつか、恋にも狂う....
「わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
もつてゐた。彼の魂は昏酔し、恍惚として肉体の上を遊楽した。孤絶せる魂に恋はない。
毒血の麻薬的な明滅だつたが、この少年を自己の運命の圏外へ手放すことに異常な恐怖に....
「探偵の巻」より 著者:坂口安吾
で、これで「てつちり」こしらへておくれやす、と見事に通なる註文をだし、なに河豚の
毒血なんざあ搾らねえでも構はねえと大きなことをぬかしながら、大いに酔つたね。 ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
がついたのですよ。オタツは怖しい女ですね。ガマ六を殺して以来、持って生れた妖しい
毒血のようなものがうごきだしたのでしょう。男と一夜のチギリをむすんで殺す。生きた....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
向からして、幕切の見得の際には照明を暗くさせ、眼だけを白く抜いて、真赤に滲み出る
毒血の凄みを、内部に塗った、燐で浮き出させる仕掛けにしたのである。そしてまた、こ....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
切って八丁堀へかけつけた。来てみるともう医者が来ていて、すぐに草を抜いて、あとの
毒血を吸い出し、全身にまわるのを食い止めたのでどうやら助かるらしいとの見込みだ。....
「狂女と犬」より 著者:小酒井不木
でした。お蝶さんは、鄙にはめずらしい美人でした。然しお蝶さんの血管には、怖ろしい
毒血が流れて居たのです。一口にいえばお蝶さんは癩病の血統を持って居ました。癩病の....