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毛並
「毛並〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
毛並の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
》と一しょに解放された。その拍子に膝《ひざ》の三毛猫は、彼女の膝を飛び下りると、
毛並みの美しい背を高くして、快さそうに欠伸《あくび》をした。
「そんな気は誰でも....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
わらよもぎ》の中へ佇《たたず》みながら、艶々《つやつや》と水をかぶっている黒馬の
毛並《けなみ》を眺めていた。が、追い追いその沈黙が、妙に苦しくなり始めたので、と....
「愛撫」より 著者:梶井基次郎
猫の手の化粧道具! 私は猫の前足を引っ張って来て、いつも独り笑いをしながら、その
毛並を撫でてやる。彼が顔を洗う前足の横側には、毛脚の短い絨氈《じゆうたん》のよう....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
バルダ・セレナ夫人、オットカール・レヴェズ氏が現われたからだった。セレナ夫人は、
毛並の優れた聖バーナード犬の鎖を握っていて、すべてが身長と云い容貌と云い、クリヴ....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
った。そして音響のくる方へ歩きだした。 やがて、何分間かたつと、せいのひくい、
毛並のきたない、支那馬にまたがった白露兵がぐったりして、長靴を、地上に引きずりそ....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
方ではあるがこういうことが書いてあった。 わたくし、此頃髪の前鬢を櫛で梳きますと
毛並の割れの中に白いものが二筋三筋ぐらいずつ光って鏡にうつります。わたくしは何と....
「死者の書」より 著者:折口信夫
はなく、大唐長安の大道の様な錯覚の起って来るのが押えきれなかった。此馬がもっと、
毛並みのよい純白の馬で、跨って居る自身も亦、若々しい二十代の貴公子の気がして来る....
「馬地獄」より 著者:織田作之助
らう赤ん坊のようだ。仲仕が鞭でしばく。起きあがろうとする馬のもがきはいたましい。
毛並に疲労の色が濃い。そんな光景を立ち去らずにあくまで見て胸を痛めているのは、彼....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
はそう高くはございませぬが、総体の地色は白で、それに所々に黒の斑点の混った美しい
毛並は今更自慢するではございませぬが、全く素晴らしいもので、私がそれに乗って外出....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
腹だ。これが現在の生活だ。変に跛者の生活だなア」 私は氈を撫で廻した。 「この
毛並の軟らかさ、朝鮮産の虎の皮、決して安くはなさそうだ。児玉町に住んでいた頃には....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
ばらなので月光が隙から射して来る。その月光に照らし出された豹の姿の美しさ、軟かな
毛並み鮮かな斑点、人の児のような優しい手つきでセッセと爪を磨いでいる。私はしばら....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
しました。 お冬も、ぶるぶると震えたんです。 「身を震わすの、身ぶるいするの、
毛並を払ふの、雨のあとのや。」 「姨さん、殺して……殺して……」 「何、殺せじゃ....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
ッター種の仔が生れたので、或る時セッター種の深い長い艶々した天鵞絨よりも美くしい
毛並と、性質が怜悧で敏捷こく、勇気に富みながら平生は沈着いて鷹揚である咄をして、....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
てもすばらしい黒熊の毛皮がその形なりにぶら下っていた。その黒い黄の交った粗々しい
毛並には雨霧が降っかかり、内側の白い皮までがすべすべと冷えきって何か無気味な、そ....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
られたので、暗い横町に立って居た。預った黒猫をしっかりと胸にかかえ、その柔らかい
毛並を撫でていると、どこかに彼女の移香を感じたので、彼は思わずミミーを抱きしめて....