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毛筋
「毛筋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
毛筋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
しているのである。 お蔦は恥じてか、見て欲かったか、肩を捻って、髷を真向きに、
毛筋も透通るような頸を向けて、なだらかに掛けた小掻巻の膝の辺に、一波打つと、力を....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
その時の様子は、察して可かろう。」 二十六 「奴は勝ほこった体で、
毛筋も動かぬその硝子面を、穴蔵の底に光る朽木のように、仇艶を放って※しながら、 ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ろに透き通る明るい夕暮に釣人が鯊魚を釣っている広島太田川の宿。 水天髣髴の間に
毛筋ほどの長堤を横たえ、その上に、家五六軒だけしか対岸に見せない利根川の佐原の宿....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
※った瞳には、確に天際の僻辺に、美女の掌に似た、白山は、白く清く映ったのである。
毛筋ほどの雲も見えぬ。 雨乞の雨は、いずれも後刻の事にして、そのまま壇を降った....
「古狢」より 著者:泉鏡花
になって、それでも、優しい人ですから、すんなりと朝露に濡れていました。それでいて
毛筋をつたわって、落ちる雫が下へ溜って、血だったそうです。」 「寒くなった。……....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
れると、私、思うんですよ。 お稲さんは黙って俯向いていたんですって。左挿しに、
毛筋を通して銀の平打を挿込んだ時、先が突刺りやしないかと思った。はっと髪結さんが....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
くりで極りが悪いわね。」 と褄を捌いて取直して、 「極が悪いと云えば、私は今、
毛筋立を突張らして、薄化粧は可いけれども、のぼせて湯から帰って来ると、染ちゃんお....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
い処は云うまでもない、袖、褄の、艶に色めく姿、爪尖まで、――さながら、細い黒髪の
毛筋をもって、線を引いて、描き取った姿絵のようであった。 十八 ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ている。 猛然として、藍染川、忍川、不忍の池の雪を思出すと、思わず震える指で、
毛筋を引けば、手繰れば、扱けば、するすると伸び、伸びつつ、長く美しく、黒く艶やか....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
っくり俯向いておりましたが。」 十二 「百姓家の納戸の薄暗い中に、
毛筋の乱れました頸脚なんざ、雪のようで、それがあの、客だと見て真蒼な顔でこっちを....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、」 と据えて出し、腰を屈めた嫗を見よ。一筋ごとに美しく櫛の歯を入れたように、
毛筋が透って、生際の揃った、柔かな、茶にやや褐を帯びた髪の色。黒き毛、白髪の塵ば....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
、草も見えず、家も暗い。が、その癖、件の姿ばかりは、がっくり伸ばした頸の白さに、
毛筋が揃って、後れ毛のはらはらと戦ぐのまで、瞳に映って透通る。 これを見棄てて....
「無表情の表情」より 著者:上村松園
ありません。 この境涯では、人が面を着けているなどいう、そんな浅間な感情などは
毛筋ほども働いていません。 よく能面の表情は固定していて、死んだ表情であり、無....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
たが、さらりと開けて、浴衣がけの涼しい服装、緋の菱田鹿の子の帯揚をし、夜会結びの
毛筋の通った、色が白い上に雪に香のする粧をして、艶麗に座に着いたのは、令夫人才子....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
でいてね、私なんぞにゃ朗々としか聞えんが、およそ目には見えんで、各自はその黒髪の
毛筋の数ほど、この天地の間に、天女が操る、不可思議な蜘蛛の巣ぐらいはありましょう....