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毟
「毟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
毟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鯉魚」より 著者:岡本かの子
またさめざめと泣き続けます。昭青年はこれを聴《き》いて腸《はらわた》を掻《か》き
毟《むし》られるような思いをしました。そして、彼女《かのじょ》を救う一番いい方法....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
して来たのに気付かないわけには行かなかった。洋傘を振り腕を拡げて手に触れる熊笹を
毟《むし》って行く。それは少年のような身軽さでもあり、自分の持地に入った園主のよ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
加減、蒸し焼き上る時間など、慣れた調子で苦もなくしてみせ、蛍雪は出来上ったものを
毟って生醤油で食べると近来にない美味であった。それまで鼈四郎は京都で呼び付けられ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
の軒電灯の集まっている暗い路地の人影を気にしたり、カフェの入口の棕梠竹を無慈悲に
毟り取ったりした。それがどうやら田舎臭い感じを与えて、かの女に失望の影をさしかけ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
かつて見るを得なかった激情的なものが覆い包んでいる。彼は絶えず、小びんの毛を掻き
毟っては荒い吐息をつき、また、それにつれて刻み畳まれた皺が、ひくひくと顔一面に引....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
刀刺す。ヒーッという悲鳴。顫わせる指先。爪の色が見る見る灰色となり、握った指先に
毟られたのは一本の桔梗の花であった。 くるりと陶器師は方向を変えた。竈の方へ帰....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
脚気山中、かさ粟津の湯へ、七日湯治をしねえ事には半月十日寝られねえで、身体中|掻
毟って、目が引釣り上る若旦那でね。おまけに、それが小春さんに、金子も、店も田地ま....
「博物誌」より 著者:岸田国士
って、ストーブを焚き始めると、彼は早速もう春の脱毛の時期が来たのだと思って、羽を
毟りだす。 私のランプの輝きは、彼の夜を掻き乱し、その睡眠の時刻を混乱させる。....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
かるや否や、ムーッと弁才坊呻き声を上げ、両手を延ばすと苦しそうに、胸の辺りを掻き
毟ったが、それもほんの僅かな間で、そのまま動かなくなったのである。 と、どうや....
「月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
、檣は折れ、その他表面にある附属物は一切滅茶滅茶に破損して、まるで蝗の足や羽根を
毟ったように鉄製の胴だけが残っている。 この様子を見ると、折角元気を盛り返しか....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
も止らぬ早業で、一羽の石燕は打つに随って其手下に落ちた。男は拾うより早くも其羽を
毟り取って、燃え※る火に肉を炙った。 やがて落葉を踏む音して、お杉|婆は諷然と....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
して離婚になると、その男は大いに怒ってその女の結婚玉瑜をその頭の飾りからしてひん
毟ってしまう。むしってしまえばそれで離婚ということが極ります。三行半の暇状を出す....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
彼等は慌しく吹き飛ばさるるように何処ともなく消え去ってしまう。人間によって彼は松
毟鳥と名づけられた。 登るともなくだんだん登って行って、ふり返って見ると、何時....