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気前
「気前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
気前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「将軍」より 著者:芥川竜之介
口一等卒は苦笑《くしょう》した。
「何、二人とも上げます。」
「そうか? それは
気前が好《い》いな。」
騎兵は身軽に馬を下りた。そうして支那人の後《うしろ》に....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
は渡られぬ。まして三浦介殿が家来の衆と顔馴染みになったは仕合わせじゃ。坂東の衆は
気前がよい。ぬけ目なくその宿所へ立ち廻って、ひとかどの得意先きにせねばならぬぞ」....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ぺろぺろと舌を吸って、 「何だって、日蔭ものにして置くだろう、こんな実のある、
気前の可い……」 「値切らない、」 「ほんによ、所帯持の可い姉さんを。分らない旦....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
。あの急勾配だから。 下りるとね、車夫はたった今乗せたばかりの処だろう、空車の
気前を見せて、一つ駆けで、顱巻の上へ梶棒を突上げる勢で、真暗な坂へストンと摺込ん....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
いうも既におとよさんの省作いとしからわいた画策なのだ。おとよさんは年に合わして、
気前のすぐれたやり手な女で、腹のこたえた人だから、自然だいそれたまねをやりかねま....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
栄華で暮そうと云う外には、何一つ慾の無え獣だ。成程一とわたりは男選みもしようし、
気前惚れもしようさ。だがそれも金があって飯が食えて、べらっとしたものでもひっかけ....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
ちがいない」 と、楽屋の草原の上に、あぐらをかいている黒川新団長は、ものすごく
気前がよかった。 五日目は、徹夜で、大天幕張り、次の日から、見ちがえるような新....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
抜けられそうもないし、それにひどく退屈しているんですから、生命の大安売、僕の体を
気前よく賭けまさあね」 と、僕はその朝リーマン博士の前で、あっさりと返答を与え....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
紙に包んだのを白銅製のものかと思うと、銀の小粒で……宿の勘定前だから、怪しからず
気前が好い。 女の子は、半分気味の悪そうに狐に魅まれでもしたように掌に受けると....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
と重詰の豆府滓、……卯の花を煎ったのに、繊の生姜で小気転を利かせ、酢にした※鰯で
気前を見せたのを一重。――きらずだ、繋ぐ、見得がいいぞ、吉左右! とか言って、腹....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
そぐわないのは、頤に短い山羊髯であった。 「御免なせえ……お香のものと、媽々衆が
気前を見せましたが、取っておきのこの奈良漬、こいつあ水ぽくてちと中でがす。菜ッ葉....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
すが、貴下様思召で、)と至って慇懃です。 資本は懸らず、こういう時、おのぼりの
気前を見せるんだ、と思ったから、さあさあ御遠慮なく、で、まず引受けたんだね。」 ....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
せんからね。」 新吉の日本人らしい決定的な強さに圧された。その上夫人は娘の前で
気前を見せる虚栄心も手伝って案外あっさり承知した。新吉は夫人のしつこさに復讐した....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
で、仔細あって送金の見込はないので、進退|谷まったのを、宜しゅうがすというような
気前の好い商人はここにはない。ただし地方裁判所の検事に朝野なにがしというのが、そ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
り、楽み疲れに気|草臥という形で、片手を畳について右の方に持ってなすった小杯を、
気前よくつつと差してくんなすったい。 震えながら……まったくですよ、震えながら....