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気色
「気色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
気色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
暫くは互に抱《だ》き合ったまま、うれし涙にくれていらっしゃいました。髪長彦もこの
気色《けしき》を見て、貰い泣きをしていましたが、急に三匹の犬が背中の毛を逆立《さ....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
めだなぞと、妙な理窟をいい出すのです。そんな時はわたしが何といっても、耳にかける
気色《けしき》さえありません。ただもうわたしは薄情だと、そればかり口惜《くや》し....
「影」より 著者:芥川竜之介
門の前へ歩み寄った。が、裏門の戸はしまっている。力一ぱい押して見ても、動きそうな
気色《けしき》も見えないのは、いつの間《ま》にか元の通り、錠が下りてしまったらし....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
青年のように、新橋《しんばし》とか柳橋《やなぎばし》とか云う遊里に足を踏み入れる
気色《けしき》もなく、ただ、毎日この新築の書斎に閉じこもって、銀行家と云うよりは....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ると、べろりと舌を出したなり、ちょうど蛙《かえる》の跳《は》ねるように飛びかかる
気色《けしき》さえ示しました。僕はいよいよ無気味になり、そっと椅子《いす》から立....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
まえがみ》の残っている、女のような非力《ひりき》の求馬は、左近をも一行に加えたい
気色《けしき》を隠す事が出来なかったのであった。左近は喜びの余り眼に涙を浮べて、....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
の》も気がついてはいたらしかった。が、彼はそう云う事には、頓着《とんちゃく》する
気色《けしき》も見せなかった。また実際男の方でも、牧野が彼女にのぼせ出すと同時に....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
をしていた。自分はすぐに顔を洗いに行った。不相変《あいかわらず》雲のかぶさった、
気色《きしょく》の悪い天気だった。風呂場《ふろば》の手桶《ておけ》には山百合《や....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
どうしたのかふだんは眼慧《めざと》い祖母が、今日に限っていくら呼んでも返事をする
気色《けしき》さえ見えません。その内に女中が不審《ふしん》そうに、病間からこちら....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
かけた。おぎんも同時に括《くく》り上げられた。しかし彼等は三人とも、全然悪びれる
気色《けしき》はなかった。霊魂《アニマ》の助かりのためならば、いかなる責苦《せめ....
「女」より 著者:芥川竜之介
そうに独り蹲《うずくま》っていた。のみならずそれはいつまで経っても、脚一つ動かす
気色《けしき》さえなかった。まっ白な広間の寂寞《せきばく》と凋《しぼ》んだ薔薇の....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
しそうに笑った。すると、頻《しきり》に筆を走らせていた小野寺十内が、何かと思った
気色《けしき》で、ちょいと顔をあげたが、すぐまた眼を紙へ落して、せっせとあとを書....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
たたず》んでいる停車場が、くら暗と雨との中をうす明く飛びすぎる。本間さんは向うの
気色《けしき》を窺《うかが》いながら、腹の中でざまを見ろと呟きたくなった。
「政....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
たが、――隠し立てをすると為にならんぞ」 しかし印度人の婆さんは、少しも怖がる
気色が見えません。見えないどころか唇には、反って人を莫迦にしたような微笑さえ浮べ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
沢の世話になるようになれば、深沢は頓着せぬ様子なれど女房は胸に持ちて居ずもがなの
気色見えたり。余も心退けて安からねば「いかなる所にても自活の道を求めたし」と言え....