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気重
「気重〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
気重の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
厭な心持を想出しながら、涼気《すずけ》の立って来た忙しい夕暮の町を帰って来たが、
気重いような心持がして、店へ入って行くのが憚《はばか》られた。
「己《おれ》も一....
「道標」より 著者:宮本百合子
の外国生活の雰囲気のなかにうけとる故国からのたよりを、一種独特の安心と同じ程度の
気重さで感じるのがわかるようだった。
「母の手紙がつくと、父はそれをいきなりポケ....
「伸子」より 著者:宮本百合子
、それはやはり一時のことにすぎなかった。 部屋にかえって夫とさし向いになると、
気重さが彼女に迫ってきた。大勢の人中にいる方が凌ぎよい。戸外の明るさの中にあって....
「旅愁」より 著者:横光利一
やり合う習慣がまたしても出かかったが、もう久慈には刺される痛さも感じない、午後の
気重い退屈さがのしかかっていた。それは街の石の重さのようにどっしりと胸の底に坐り....
「病室の花」より 著者:寺田寅彦
めにもどれほどか短くされた。眠られぬままにいろいろな事を考えた中にも、N先生が病
気重態という報知を受けて見舞いに行った時の事を思い出した。あの時に江戸川の大曲の....
「三斜晶系」より 著者:寺田寅彦
いたようであったが、とにかく三人のムードが、食前とはすっかり一変して、なんとなく
気重く落ち着いた、眠ったいような雰囲気がその食卓の上にただよっているように感ぜら....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
すが、二十本を一クルスとする由。そして何ヵ月か休んで又いたします。静脈は、やはり
気重いのよ。小児科の林先生は上手だし、神経質でないし、音楽がすきだったりしていい....
「おとずれ」より 著者:国木田独歩
え、十蔵とは奸なる妻のために片目を失いし十蔵なり、妻なく子なく兄弟なく言葉少なく
気重く心怪しき十蔵なり。二郎とはすなわち貴嬢こそよく知りたもう二郎なり。あわれこ....
「程よい人」より 著者:豊島与志雄
ことになっている通りに、紅茶とウイスキーとを出した。チーズと果物が添えてあった。
気重い沈黙が続いた後に、彼女は言い出した。 「あなたはわたしに隠していらっしゃる....
「蛸の如きもの」より 著者:豊島与志雄
、ビフテキのヒポコンデリーを、歌ったことがあった。だが、そんなのよりもっともっと
気重いのである。 石垣の下、掘割の中の狭い洲に、なにか黒いものがうごめいている....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
ものの、柿沼が一度も来なかったこと、或るいは来なかったらしいことが、却って私には
気重いものとなって感ぜられました。私は柿沼に反感をこそ懐け、一片の愛情も持っては....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
と、捨ぜりふのように言って、隣室に消えた。 次郎は、一人になると、さすがに変な
気重さを感じた。彼は、それをまぎらすように、室内を見まわしたが、正面に額が一つか....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
をはげましてくれたが、あとでは、そういう声もめったに聞かれなくなり、私としては、
気重な気分と共に淋しい気分まで味わいはじめることになったのであった。 いっそは....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
いとする用心で、いよいよ内気を守った。それがなおなおかの女の態度を真剣に沈み入り
気重にさせるようになって来た。 「こんないい陽気に内にばかりいらしってもお毒です....
「旅客機事件」より 著者:大庭武年
池内が二度時計を出して眺めている所へ、帰って来た。と池内は何かしら胸を押えられる
気重な気分を三枝の持つ雰囲気から受けた。 「変だなあ、こいつ――」 丁度その時....