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気鬱
「気鬱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
気鬱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
《こそくしゅだん》としか思われませんでした。しかも一方ではN家の主人などが、私の
気鬱《きうつ》の原因を独身生活の影響だとでも感違いをしたのでございましょう。一日....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
たく、飛んだ御災難で、ほんとにお気の毒です。嗅ぎ煙草でも一服いかがです? 頭痛や
気鬱を吹き払いますし、おまけに痔疾にも大変よろしいんで。」こういいながら広告係は....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
表しているのを見ると、忠通はこの頃におぼえない愉快と満足とを感じた。この夏以来の
気鬱《きうつ》も一度に晴れて、彼の胸は今夜の大空のように明るく澄み渡ってきた。 ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
嬢さんどういうご病気なの」 というと、小店員はちょっと頭を掻いたが、 「まあ、
気鬱症とか申すのだそうでございましょうかな。滅多にございませんが、一旦そうおなり....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
上げよう。 「奥さまのかの子さーん」 夏もさ中にかかりながらわたくしは何となく
気鬱加減で書斎に床は敷かず枕だけつけて横になっていた。わたくしにしては珍らしいこ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
で寄って来る。 飯篠長威斎直家の直門諸岡一羽の直門弟土子土呂之介に学んだ剣。殺
気鬱々たる鋒子先、プンと血生臭く匂いそうだ。 しかし土屋庄三郎も、塚原|卜伝唯....
「十万石の怪談」より 著者:佐々木味津三
てて遮切ると、千之介を庇うように言った。 「何でも厶りませぬ。仔細は厶りませぬ。
気鬱症にでもとり憑かれましたか、月を見ると――、そうで厶ります。馬鹿な奴めが、月....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
吉のこと)と二人で憎まれ役でさ。お師匠さまにはあの隠宅もありますし、これがただの
気鬱症か何かなら、だれもあんな暗いところへお師匠さまを入れたかありません。お寺へ....
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
、駄目なんだ) 彼ははじめて悟りに達したような気がした。と同時に、今までの妙な
気鬱が、すうっと散じてしまったようであった。 「ほう、なるほど下るわ下るわ。いよ....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
、応急の処置をとるが、気の鬱していることは自分の鈍感から気づかずにいると終いには
気鬱症という陰気な病いが起こる。ジメジメとしたヒステリーはまったく見ていて気の毒....
「桃のある風景」より 著者:岡本かの子
。そりゃいい匂いで気が散じるから。」母は話さなかったが、恐らく母が娘時代に罹った
気鬱症には、これ等が利いたのであろう。 色、聞、香、味、触の五感覚の中で、母は....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
つけて動けないようにした。けれどそれをそのままうちの中に閉じこめておけば、今度は
気鬱と空気の悪いために死ぬかもしれない。 そこでかの女は子どものためにきれいな....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
崎|内膳という若武士である。 「ご宿老の木村|常陸介様が、幸蔵主殿のおいで以来、
気鬱のように陰気になられた。その常陸介殿はどうかというに、智謀逞邁、誠忠無双、容....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
った。 と云ってもこれといって、心臓とか肺臓とか、そういうものの病気ではなく、
気鬱の病気にかかっているのであった。 (澄江が水品陣十郎と、寝泊りをして旅をして....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
らしになるかも知れませんわねえ。」こう云って、奥さんは夫に同意した。そして二人共
気鬱が散じたような心持になった。 夫が出てしまうと、奥さんは戸じまりをして、徐....