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水っぽい
「水っぽい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水っぽいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
、歯を病んで寝ていると、じき故郷の野や山や海や、別れた人達の顔を思い出してくる。
水っぽい眼を向けてお話をする神様は、歪んだ窓外の飄々としたあのお月様ばかりだ……....
「涼味数題」より 著者:寺田寅彦
とこの幼時の南磧の納涼場の記憶がよみがえって来て、そうしてあの熱い田舎ぜんざいの
水っぽい甘さを思い出すと同時になき母のまだ若かった昔の日を思い浮かべることもある....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
していることは、それでいいとしても、兵馬が気になり出したのは、このお妾がいかにも
水っぽい女で、たしかにいい女というのだろう、血相のいい顔に、つやつやしい丸髷《ま....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
て、大きな銀蠅が歓声をあげて恋を営んでいた。日がな一にちレクトル・エケクランツの
水っぽい瞳が凝視している壁は、おもて通りに入口をもつ売春宿ホテル・ノルジスカの横....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
から大抵の女は、善人よりも悪人に惚れますよ、といってやりました」 後家さんは、
水っぽい調子で得意になって、こんなことを言っていましたから、お雪がいっそう呆れて....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
を走らせているのだが、その字の色はうす赤かった。血のように赤く、また汗のごとくに
水っぽいのだ。
それもそのはず!
彼は、みずからの血におのが汗をしぼりこんで....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
タリアよいとこ。 夕飯がでました。それはこしょうと、ぷんとくさい脂で味をつけた
水っぽいスープとでした。そのくさい脂がサラダのおもな味でした。かびくさい卵と、鶏....
「白木蓮」より 著者:豊島与志雄
板で、内実は主として酒場だ。ウイスキーやビールはまあ普通の品だが、日本酒はひどく
水っぽい。よほど酔ってでもいなければ、まともには飲めない。 「お上さん、こいつは....
「怪しの者」より 著者:国枝史郎
した。及び腰をして格子戸の方を隙かし、 「どなた、宅にご用?」 と、含みのある
水っぽい声で言ったものです。 「いや」 と西条さんは狼狽したような声で、 「狼....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
たとき、なにかしら透き通ったような人間ばなれのしたものを法水は感じた。 朝枝は
水っぽい花模様の単衣を着、薄赤色の兵児帯を垂らしているが、細面の頸の長い十六の娘....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
を描いて出していた。酒店で酒を飲んでいるところとしてぞんざいに画いてある人々は、
水っぽい葡萄酒やビールの量りの悪いことをぶつぶつ言いながら、凄い顔をして互にひそ....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
愛国主義は鼓吹された。自然主義運動勃興以前の各既成作家の行きづまりは、恐ろしく、
水っぽい戦争小説の洪水をもたらした。それは、後の自然主義運動に於いて作家としての....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
の二階に、歯を病んで寝ていると、じき故郷の野や山や海や、別れた人達の顔を思出す。
水っぽい瞳を向けてお話をするのゝ様は、歪んだ窓外の漂々としたお月様ばかり……。 ....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
らあ! あの声が耳を離れねえ」 「ぐちるなってことよ」 「しかし、兄貴の前だが、
水っぽい女だったなあ。むっちりした膝《ひざ》をそろえて、こう揺れてたのが眼を離れ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
入れと、白い西洋皿と、透きとおった薄手のカップとを運ばせて来た。白い二つの皿には
水っぽい新鮮なサラダの緑を、白い三つの皿にはやや薄黄のマイナスソースをかけた羊の....