水底[語句情報] »
水底
「水底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
声とに暮れて行くイタリアの水の都――バルコンにさく薔薇《ばら》も百合《ゆり》も、
水底《みなそこ》に沈んだような月の光に青ざめて、黒い柩《ひつぎ》に似たゴンドラが....
「竜」より 著者:芥川竜之介
や、昔は棲んで居ったに相違あるまい。昔は天《あめ》が下の人間も皆|心《しん》から
水底《みなそこ》には竜が住むと思うて居った。さすれば竜もおのずから天地《あめつち....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、片面を、怪しきものの走るがごとく颯と暗くなった海に向けて、蝕ある凄き日の光に、
水底のその悪竜の影に憧るる面色した時、隼の力の容貌は、かえって哲学者のごときもの....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
っと咲いてはすぐ散って行く。 船は縄に引かれてぐんぐん陸のほうへ近寄って行く。
水底が浅くなったために無二無三に乱れ立ち騒ぐ波濤の中を、互いにしっかりしがみ合っ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
れた大洪水で、この際に大地はことごとく水中に没し、最高の山頂でさえ一五エルレンの
水底にあったことになっている。一八七〇年代のころにこれと全く同様な内容を楔形文字....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
いよ、何と唄うえ。」 「分りましたわ。」と、森で受けた。 「……諏訪――の海――
水底、照らす、小玉石――手には取れども袖は濡さじ……おーもーしーろーお神楽らしい....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
来た。映る影は人も橋も深く沈んだ。早や、これでは、玄武寺を倒に投げうっても、峰は
水底に支えまい。 蘆のまわりに、円く拡がり、大洋の潮を取って、穂先に滝津瀬、水....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
及びません。」 松崎は先んじられた……そして美しい女は、淵の測り知るべからざる
水底の深き瞳を、鋭く紳士の面に流して 「私は確です。発狂するなら貴方がなさい、御....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
た石垣も、草は枯れつつ苔滑。牡丹を彫らぬ欄干も、巌を削った趣がある。あまつさえ、
水底に主が棲む……その逸するのを封ずるために、雲に結えて鉄の網を張り詰めたように....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
をここに留めて憩ったのであるが、眩いばかり西日が射すので、頭痛持なれば眉を顰め、
水底へ深く入った鯉とともにその毛布の席を去って、間に土間一ツ隔てたそれなる母屋の....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ような思いがした。 嫗の言が渠を魅したか、その蘆の葉が伸びて、山の腰を蔽う時、
水底を船が漕いで、岡沙魚というもの土に跳ね、豆蟹の穂末に月を見る状を、目のあたり....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
不在の折に衣服を脱いで、深い水溜の一つに跳び込んだから耐りませぬ。忽ちブクブクと
水底に沈んで了いました。しばらく過ぎてからその事が発見されて村中の大騒ぎとなりま....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
れは坊主頭に顱巻して)と、大に気競う処もあって――(鰯、鯖、鰺などの幾千ともなく
水底を網に飜るありさま、夕陽に紫の波を飜して、銀の大坩炉に溶くるに異ならず。)―....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
のせた、左の袖がなよやかに、はらりと欄干の外へかかった。 ここにその清きこと、
水底の石一ツ一ツ、影をかさねて、両方の岸の枝ながら、蒼空に透くばかり、薄く流るる....
「夜釣の怪」より 著者:池田輝方
なったものですから、始めてその主人が話したそうです。 つまり「釣をしていると、
水底から、ずっと深く、朧ろに三尺ほどの大きさで、顔が見えて、馬のような顔でもあり....