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水洟
「水洟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
水洟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
よっしゃ、今揚げたアるぜ」というものの擂鉢《すりばち》の底をごしごしやるだけで、
水洟《みずばな》の落ちたのも気付かなかった。 種吉では話にならぬから素通りして....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
妹があんなことになったんだから、やっぱり気が少しどうかしたんだよ」 初三郎爺が
水洟《みずばな》を押し拭いながら言った。 「どうも、少し変だなあ。正勝さんと紀久....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
追われて、夜を徹する日が続いたが、ある夜更け、豹一がふと眼をさますと、スウスウと
水洟をすする音がきこえ、お君は赤い手で火鉢の炭火を掘りおこしていた。戸外では霜の....
「世相」より 著者:織田作之助
養っているというこの老訓導の日々の営みを、ふと覗かせているようだった。口髭の先に
水洟《みずばな》が光って、埃も溜っているのは、寒空の十町を歩いて来たせい許りでは....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
くらしく、場末の町などで折りおりに見かける飴売りにも若い人は殆ど無い。おおかたは
水洟をすすっているような老人であるのも、そこに移り行く世のすがたが思われて、一種....
「わが町」より 著者:織田作之助
。 それが六年振りの夫婦の挨拶であった。初枝は父親の顔を忘れているらしかった。
水洟を鼻の下にこちこちに固めて、十一歳よりは下に見えた。 「あんた、なんぜ、手紙....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
舌の上でせわしく、あちこちへやった。「初めて」熱いものを鼻先にもってきたために、
水洟がしきりなしに下がって、ひょいと飯の中に落ちそうになった。 飯を食っている....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
とってある側に、三四人立ち固まっていた。木型の大工も交っていた。すぐ下がってくる
水洟を何度も何度もすゝり上げていた。 ――誰か思いきって、グイと先頭に立つもの....
「芋」より 著者:佐左木俊郎
行けそうな山芋は、一本も掘れなかった。 モセ嬶は、がっかりして、泥のついた手で
水洟をこすりながら、鼻の下を黒くして、「なじょにして爺様を喫驚させべ?」と考えな....
「大脳手術」より 著者:海野十三
仕事だと分った。しかし私は屈しなかった。 風邪を引込んだが、私は休まなかった。
水洟を啜りあげながら、なおも来る夜来る夜を頑張り続けた。さりながらその甲斐は一向....
「雨」より 著者:織田作之助
われて、夜を徹する日々が続いたが、ある夜更け、豹一がふと眼をさますと、スウスウと
水洟をすする音がきこえ、お君は赤い手で火鉢の炭火を掘りおこしていた。戸外では霜の....
「天衣無縫」より 著者:織田作之助
ざとではないかとはじめ思った、思いたかったくらい、今にもずり落ちそうな、ついでに
水洟も落ちそうな、泣くとき紐でこしらえた輪を薄い耳の肉から外して、硝子のくもりを....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
すすった。いきなりあたりが明るくなり、ブラジルの前まで来た。入口の門燈の灯りで、
水洟が光った。 「ここでんねん」 松本の横顔に声を掛けて、坂田は今晩はと、扉を....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、寒の中も、これで凌ぐんで、」 「威張ったね。」 「へ、どんなもんで、」と今度は
水洟をすすり上げた握拳、元気かくのごとくにしてかつ悄然たり。 「ほんとうに真面目....
「雨」より 著者:織田作之助
、お君の夜を徹する日々が続いたが、ある夜更け、豹一がふと眼をさますと、スウスウと
水洟をすする音がきこえ、お君は赤い手で火鉢の炭火を掘りおこしていた。戸外では霜の....