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「水田〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水田の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
町々だった。彼はごみごみした往来に駄菓子を食って育った少年だった。田舎は――殊に水田の多い、本所の東に開いた田舎はこう言う育ちかたをした彼には少しも興味を与えな....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
》とが北海道を襲って来た。旱魃《かんばつ》に饑饉《ききん》なしといい慣わしたのは水田の多い内地の事で、畑ばかりのK村なぞは雨の多い方はまだ仕やすいとしたものだが....
星座」より 著者:有島武郎
うなものだ。ろくな元資《もとで》も持たず七年前に富山から移住してきた男だったが、水田にかけては経験もあるし、人間もばかではないようだったから、……その……何んと....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
被さった毛が、ぶるぶると動いて……腥い。 しばらくすると、薄墨をもう一刷した、水田の際を、おっかな吃驚、といった形で、漁夫らが屈腰に引返した。手ぶらで、その手....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
おかみさんに礼を言って下さい。」 やがて停車場へ出ながら視ると、旅店の裏がすぐ水田で、隣との地境、行抜けの処に、花壇があって、牡丹が咲いた。竹の垣も結わないが....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ど草がくれなる上に、積った落葉に埋れている。青芒の茂った、葉越しの谷底の一方が、水田に開けて、遥々と連る山が、都に遠い雲の形で、蒼空に、離れ島かと流れている。 ....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
はびちゃびちゃと聞えて来た。水なら踵まで浴ろう深さ、そうして小刻に疾くなったが、水田へ蹈込んで渡るのを畔から聞く位の響き。 と卓子の上で、ざざっと鳴出す。窓か....
化鳥」より 著者:泉鏡花
に一ならび、こっちに一ならび、横縦になって、梅の樹が飛々に暗くなる。枝々のなかの水田の水がどんよりして淀んでいるのに際立って真白に見えるのは鷺だった、二羽一とこ....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
ういう理窟は、いっかな、さらりとはいかなかった。例えば、五十度の傾斜のある地面に水田を拓くとして、もしそれを半畝歩ずつに区切らなければならぬ場合、どうしたって一....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
は湖の尖端である。 あのあたり、あの空…… と思うのに――雲はなくて、蓮田、水田、畠を掛けて、むくむくと列を造る、あの雲の峰は、海から湧いて地平線上を押廻す....
山吹」より 著者:泉鏡花
木蓮あるもよし。よろず屋の店と、生垣との間、逕をあまして、あとすべて未だ耕さざる水田一面、水草を敷く。紫雲英の花あちこち、菜の花こぼれ咲く。逕をめぐり垣に添いて....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
に青薄が生添って、葉の間から蚕豆の花が客を珍らしそうに覗く。……ずッと一面の耕地水田で、その遠くにも、近くにも、取りまわした山々の末かけて、海と思うあたりまで、....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
片側の屋敷町で、川と一筋、どこまでも、古い土塀が続いて、土塀の切目は畠だったり、水田だったり。…… 旧藩の頃にね、――謡好きのお武家が、川べりのその土塀の処を....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
いたのでした。 峠を越すと、広い平原になって、そこから城下の方まで、十里四方の水田がひろがって、田には黄金の稲が一杯に実っていました。 「伊作の足あ、なんて早....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
を食ったものである。江東梅園も臥竜梅と一しょにとうに滅びてしまっているであろう。水田や榛の木のあった亀戸はこういう梅の名所だった為に南画らしい趣を具えていた。今....