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「水盤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

水盤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
おしの」より 著者:芥川竜之介
端正に過ぎる結果、むしろ険《けん》のあるくらいである。 女はさも珍らしそうに聖水盤《せいすいばん》や祈祷机を見ながら、怯《お》ず怯《お》ず堂の奥へ歩み寄った。....
老年」より 著者:芥川竜之介
くかかって、支那水仙であろう、青い芽をつつましくふいた、白交趾《はつコオチン》の水盤がその下に置いてある。床を前に置炬燵《おきごたつ》にあたっているのが房さんで....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
取りあわせには人を恍惚とさせるものがある。石州はかつて湖沼の草木を思わせるように水盤に水草を生けて、上の壁には相阿弥の描いた鴨の空を飛ぶ絵をかけた。紹巴という茶....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
肩ながら厚味のあるむす子の肩の肉を押した。 噴水のネオンの光線の加減のためか、水盤を取り巻いて、食卓を控えた靠れ壁の人々の姿はハッキリしなかった。しかし、向う....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ェズに違いないのだ」 その驚駭噴泉の頂上は、黄銅製のパルナス群像になっていて、水盤の四方に踏み石があり、それに足をかけると、像の頭上からそれぞれの側に、四条の....
ふしぎ国探検」より 著者:海野十三
つくしい。広場のまん中には、噴水塔があり、水晶のようなしずくが下におちて、大きな水盤《すいばん》にたまる。空は青くかがやいている。 「はてな。ここは海の底でしょ....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
にして、辛うじて頂上へ辿ることが出来た。立処に、無熱池の水は、白き蓮華となって、水盤にふき溢れた。 ――ああ、一口、水がほしい―― 実際、信也氏は、身延山の....
人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
天井まで上がっていましたが、その天井からは、お日さまがさしこんで、噴水の水と大|水盤のなかにういている、うつくしい水草の上にきらきらしていました。 こうして王....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
覗いて、白々と、ああ、藤の花が散り澄ますと思う、窓下の葉蘭に沈んで、水の装上った水盤に映ったのは、撫肩の靡いた浴衣の薄い模様です。襟うらに紅いのがちらりと覗いて....
式部小路」より 著者:泉鏡花
なりまさ。 もみじはここも名物だが、ちと遅い。紅は万両、南天の実。鉢物、盆石、水盤などが、霞形に壇に並んだ、広い庭。縁には毛氈を敷いて煙草盆などが出してあり、....
噴水物語」より 著者:岡本かの子
掘り窪めて、その底に据えられてあった。 短い柱から肋骨のように左右相対に細長い水盤が重なって出ている。上は短かく次々と少しずつ長くなって、最後の盤はペリカンの....
春になる前夜」より 著者:小川未明
かみも今夜は寒いとみえて、ふっ、ふっと白い息を吐いていました。そして、氷の張った水盤のような月に向かって、訴えるようにほえるのでありました。 すずめは、さすが....
春風遍し」より 著者:小川未明
ましょう。 いま私は陣々たる春風に顔を吹かせて、露台に立っています。 そして水盤の愛する赤い石をながめながら我が死後、幾何の間、石はこのままの姿を存するであ....
銀河の下の町」より 著者:小川未明
るかな。うまく根といっしょに引き抜かれたなら、家に持って帰って、金魚の入っている水盤に植えようと空想していたのでした。 このとき、あちらの道を歩いてくる人影を....
青いボタン」より 著者:小川未明
つになったら、彼女の住んでいる町へ着くでしょうか。 三びきの金魚は、まだ達者で水盤の中に泳いでいます。正雄は、青いボタンの一つをまくらもとに置いて寝たある晩に....