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永年
「永年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
永年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
けれども売り価は新らしい本でも買い価の半ば以上になったことはなかった。のみならず
永年持っていた本を古本屋の手に渡すことは常に彼には悲劇だった。彼は或薄雪の夜、神....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
い唯今《ただいま》」と返事をした。
五
玄鶴はだんだん衰弱して行った。彼の
永年の病苦は勿論《もちろん》、彼の背中から腰へかけた床ずれの痛みも烈《はげ》しか....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
しかし積悪の報《むくい》と思えば、これも致し方はございますまい。いや、むしろこの
永年、天罰も受けずに居りましたのは、不思議だったくらいでございます。が、せめても....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ました。いや、それもただ、そう云うものが御好きだったと申すばかりでなく、御自分も
永年御心を諸芸の奥秘《おうひ》に御潜めになったので、笙《しょう》こそ御吹きになり....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
る筈はなかった。と云って兵衛が生きたにせよ、彼自身が命を墜《おと》したら、やはり
永年の艱難は水泡に帰すのも同然であった。彼はついに枕《まくら》を噛《か》みながら....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
う、君は湖南の産《うまれ》だったっけね。」
「うん、ここに開業している。」
譚
永年《たんえいねん》は僕と同期に一高から東大の医科へはいった留学生中の才人だった....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
ラ君と云えば、もう皆さんの中にも、御存じの方が少くないかも知れません。ミスラ君は
永年印度の独立を計っているカルカッタ生れの愛国者で、同時にまたハッサン・カンとい....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
と同時に、一層の奥床しさを感じさせたと見えて、今まで内蔵助の方を向いていた彼は、
永年京都|勤番《きんばん》をつとめていた小野寺十内の方へ向きを換えると、益《ます....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
も書いたように、当時京都の町は一通りならず衰微《すいび》していた。今この下人が、
永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかなら....
「片信」より 著者:有島武郎
かる傾向を生じた根柢に、各階級に特異な動向が働いているのを認め、そしてその動向は
永年にわたる生活と習慣とが馴致《じゅんち》したもので、両階級の間には、生活様式の....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
とするものではない。ブルジョアジーをなくするためには、この階級が自己防衛のために
永年にわたって築き上げたあらゆる制度および機関(ことに政治機関)をプロレタリアの....
「小作人への告別」より 著者:有島武郎
いうような形になると思いますが、その運用には相当の習練が必要です。それには、従来
永年この農場の差配を担任していた監督の吉川氏が、諸君の境遇も知悉《ちしつ》し、周....
「親子」より 著者:有島武郎
て、すっかり精算をしようというわけになっているのだ。明日の授受が済むまでは、縦令
永年見慣れて来た早田でも、事業のうえ、競争者の手先と思わなければならぬという意識....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
くりましたのは、あれはホンの当座の出来心で、心から可愛いと思っているのは、矢張り
永年連れ添って来た自家の女房なのでございます……。ただ彼女が余んまり嫉妬を焼いて....
「初雪」より 著者:秋田滋
、お前にもここが好くって好くって、仕様がなくなっちまうから――。だって、この僕が
永年ここで暮していて、ついぞ退屈したなんてことが無いんだからね」 その日は暇さ....