汁椀[語句情報] » 汁椀

「汁椀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

汁椀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
たもと》へ入れた。 翌日彼は朝飯《あさはん》の膳《ぜん》に向って、煙の出る味噌汁椀《みそしるわん》の蓋《ふた》を取ったとき、たちまち昨日《きのう》の唐辛子を思....
小田原陣」より 著者:菊池寛
それでは戦国の世に国を保つことは思いも寄らぬと言って長歎したと云う。昔の食事は、汁椀などはなく、大きな鉢に盛った汁を各自の飯椀にかけるのだった。先日、京都の普茶....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
めずらしいところで、私達は朝の食事をした。亭主は食べ了った茶碗に湯を注ぎ、それを汁椀にあけて飲み尽し、やがて箱膳の中から布巾を取出して、茶碗も箸も自分で拭いて納....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
対する。諸君と共に二列に差向って、饌に就く。大きな黒塗の椀に堆く飯を盛ってある。汁椀は豆腐と茄子と油揚のつゆで、向うに沢庵が二切つけてある。眼の凹い、鮫の歯の様....
三月の第四日曜」より 著者:宮本百合子
据えてあった。女中が遠慮のない視線でサイの人絹ずくめの体を見下しながら、台処から汁椀を運んで来た。 ここで自分まで朝飯をよばれようとはサイは思いもかけないこと....
青年」より 著者:森鴎外
ている火鉢を引き寄せて、敷島を吹かしている。そこへ女中が膳を持って来る。その膳の汁椀の側に、名刺が一枚載せてある。大石はちょいと手に取って名前を読んで、黙って女....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
あ遠慮せんで食べてくれ。俺もここでお相伴をするから。」 甚斎はこう言って、皆の汁椀にそれぞれ雑草の葉っぱと蛙とを盛り分けた。そして鍋に残った蛙の死骸の一つをつ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の黒ずんだ婆さんの、皺頸へ垢手拭を巻いたのが、乾びた葡萄豆を、小皿にして、兀げた汁椀を二つ添えて、盆を、ぬい、と突出した。片手に、旦那様|穿換えの古足袋を握って....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
小首をヒネりました。 お膳の上を見直すと、小肴《こざかな》もある、焼鳥もある、汁椀も、香の物も、一通り備わっているのだが、はて、早い手廻しだなあと、いよいよ感....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
に漬物一皿と限られていたが、一椀の飯を尽されると共に一人の小姓は直に下って代りの汁椀を持って出てそれと引替える。汁の外は、平が一つと皿に焼肴とか煮肴あるいは刺身....
遺言」より 著者:国木田独歩
てあったからホールの騒ぎは一通りでない。例の椀大のブリキ製の杯、というよりか常は汁椀に使用されているやつで、グイグイあおりながら、ある者は月琴を取り出して俗歌の....
」より 著者:森鴎外
ら出たばかりの女中こそ好い迷惑である。とうとう四日目の朝飯の給事をさせている時、汁椀の中へ栂指を突っ込んだのを見て、「もう給仕はしなくても好いから、あっちへ行っ....
不在地主」より 著者:小林多喜二
之助が面白がった。 「飽き飽きするでえ!」 佐々爺は何時でも冷酒を、縁のかけた汁椀についで、「なんばん」の乾したのを噛り、噛り飲んだ。――それが一番の好物で、....
廃墟(一幕)」より 著者:三好十郎
、双葉がそれを一つ一つ食卓の上に並べ置く。風景だけは夕食の風景になる。誠は黙って汁椀を持って口をつけながら欣二のしている事に眼を附けている) 三平 (その誠の視....
夏日小味」より 著者:北大路魯山人
も、また越瓜ともいう。白瓜を賞味するのはこれから当分の間である。この白瓜を薄葛の汁椀なぞにつくる場合、大概はその皮を剥いて捨ててしまうものであるが、その捨ててし....