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「汁気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

汁気の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
、風が附き添って攀じ上り、疾《はや》く吹きなぐるので、熔岩を楯に身をすぼめ、味も汁気もない握り飯を喰べて、腹を拵える。 九合目に来た、もう一杯の雪で、コンクリ....
野分」より 著者:夏目漱石
。道也先生は風のなかを帰ってくる。 十一 今日もまた風が吹く。汁気《しるけ》のあるものをことごとく乾鮭《からさけ》にするつもりで吹く。 「御兄....
光と風と夢」より 著者:中島敦
総《ふさ》状に盛上る蘭類。毒々しい触手を伸ばした羊歯《しだ》類。巨大な白星海芋。汁気の多い稚木《わかぎ》の茎は、斧の一振でサクリと気持よく切れるが、しなやかな古....
道標」より 著者:宮本百合子
とおりなかみの赤い、種の黒い西瓜だった。または、種が茶色で、なかみはクリーム色の汁気の多い種類だった。 スターリングラードからウクライナ地方を横切る列車の中で....
簔虫と蜘蛛」より 著者:寺田寅彦
と、はたして袋の底に滓のようになった簔虫の遺骸の片々が残っていた。あの肥大な虫の汁気という汁気はことごとく吸い尽くされなめ尽くされて、ただ一つまみの灰殻のような....
よもの眺め」より 著者:宮本百合子
出されているのである。 日夜地球はめぐりつつあり、こうして、或るところでは重く汁気の多い果実が深い草の上に腐れ墜ち、或るところでは実らぬ実を風にもがれているけ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
し、他方は音楽は垂直に読むべきものだと主張していた。後者の人々は、味のよい和音、汁気《しるけ》の多い連結、滋養分に富んだ和声、などばかりを問題にしたがっていた。....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ほどの思想をも、よく察知することができるのだった。――それからまた、血のしたたる汁気《しるけ》のある不思議な物がこしらえられる料理場もあり、ばかげた恐ろしい噺《....
桜の園」より 著者:神西清
ござんしたよ。大したお金でしたわい! 乾した桜んぼだって、あの頃は柔らかくてな、汁気があって、甘味があって、よい香りでしたよ。……あの頃は、こさえ方を知っていた....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
他の民族でも同じことかと思うが、日本の食物が近世に入って、次第に温かいものまたは汁気のものを多くしたのも、誘因はこういう接客法にあった。家に火処がたった一つであ....
童子」より 著者:室生犀星
急ぐしするから。」と附け加え、一緒にかえるという母親と、玄関へ出た。 「なるべく汁気の多いものをいただいて、そして自分の家だと思っていないと、乳というものは不意....