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「汚水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

汚水の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人間失格」より 著者:太宰治
は、それこそ青葉の滝のようにすがすがしく思われていたのです。それが一夜で、黄色い汚水に変ってしまいました。見よ、ヨシ子は、その夜から自分の一顰《いっぴん》一笑に....
汽笛」より 著者:佐左木俊郎
っていた。その下は土を取った赭土《あかつち》の窪地。歳《とし》を取ったどすぐろい汚水、死に馬の眼のような水溜まりだった。水面には棒切れや藁屑《わらくず》が浮いて....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
されるからである。過日《こないだ》のしけの時などは、下水を溢れて滝のように流るる汚水の中に、押し合いヘシ合って電車に乗る人々、自動車のタイヤの両側に破れむしろを....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
な正直者の風間看守は、たしかに怪異の姿を見たと言うし、ランプ室の床に四散していた汚水といい、妙な唸り声や、鳴き声といい……ああとにかく、もう一度塔の上へ登ってみ....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
「くたびれるから抜手を切っちゃいかん」 河口西側の蘆洲をかすめて靄の隙から市の汚水処分場が見え出した。 ここまで来ると潮はかなり引いていて、背の高い子供は、....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
逞ましい水音を立てて、崖とは反対の道路の石垣の下を大溝が流れている。これは市中の汚水を集めて濁っている。 復一が六年前地方の水産試験所を去って、この金魚屋の跡....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
にはいった時、一人の侍は懐中の書類をことごとく壺の中に捨て、刀を抜いてそれを深く汚水の中に押し入れ、それから身軽になって連れの侍と共に引き立てられた。罪人を乗せ....
般若心経講義」より 著者:高神覚昇
で、かえってどろどろした、汚い泥田のうちから、あの綺麗な美しい花を開くのです。「汚水をくぐりて浄き蓮の花」と、古人もいっていますが、そうした尊い深い意味を説いて....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
に濁った水が溜っているのだった、わずかに五、六人の見物は黙って暗い電燈の下でその汚水を眺めていた、私もそれを眺めていたわけである、やがて印半纏を着た男が何かガン....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
さを厭うからでなく、汗を特別に嫌がるためだった。衣服と皮膚との間に一つの汗という汚水の層を持つ事は全く不愉快な事だ。浴衣の汗は直ちに拭い去る事が出来るが洋服の汗....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
漆喰壁には蜘蛛の巣形に汚点が錆びついていた。どこの露地からも、ちょろ/\流れ出る汚水が道の割栗石の窪みを伝って勝手に溝を作って居る。それに雨の雫の集りも加わって....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
しかも無理にその肉体からもぎ離されたる無数の魂は、何の用意も、教育も施されずに、汚水の如く霊の世界へとなだれ込む。その罪穢、その腐敗は、まさに言語に絶し、万の災....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
大都市は、海にむかって漏泄の道をひらいている。その大|暗渠は、社会の穢粕と疲憊とを吸いこんでゆく。その汚水は、都市の秘密、腐敗、醜悪を湛えてまんまんと海に吐きだす。ところが、どんな都....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
うち一万人は外国人なり。周囲は平原にして、山岳望中に入る。樹木の日光を遮るなく、汚水の諸方に滞留するあり。人家は多く二階建てなり。室内は土間のままにて床を張らず....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
く暗くなり、そうして今は舷下の飛沫と潮※とがただ白く青く駛って、擾れて、機関部の汚水がタッタッと吐き出されてゆく。 一寸したウイスキイの酔は、すぐにも発散した....