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「汚濁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

汚濁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
HUMAN LOST」より 著者:太宰治
る、人の眼恥じざる清潔の抱擁《ほうよう》と、老教授R氏の閉め切りし閨の中と、その汚濁、果していずれぞや。 「男の人が欲しい!」「女の友が欲しい!」君、恥じるがい....
花吹雪」より 著者:太宰治
う。それに較べて私はどうだろう。お話にも何もならぬ。われながら呆れて、再び日頃の汚濁の心境に落ち込まぬよう、自戒の厳粛の意図を以て左に私の十九箇条を列記しよう。....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
さましさを歎き、まっさきに黒髪を切り、二人の娘もおくれじと剃髪して三人|比丘尼、汚濁の古巣を焼き払い、笹谷峠のふもとの寺に行き老僧に向って懺悔しその衣の裾にすが....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ら、実は、いくらかすっきりして来ましたんです。」 珊瑚碧樹の水茎は、清く、その汚濁を洗ったのである。 「いつまでも、さっきのままですと、私はほんとうに、おいら....
華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
で大した興味はないわけだ。 二 街の真中に川が流れているのは、いくら汚濁の水といえどもいいものである。近代的な高層建築や、欄干のある料理屋などが、少....
喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
であり、聚落の上に煙の立つのは民の竈の賑わえる表徴である。現代都市の繁栄は空気の汚濁の程度で測られる。軍国の兵力の強さもある意味ではどれだけ多くの火薬やガソリン....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
る。 国内に天変地災のしきりに起こるのは、正法乱れて、王法衰え、正法衰えて世間汚濁し、その汚濁の気が自ら天の怒りを呼ぶからである。 「仏法やうやく顛倒しければ....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
に生活の仕様がないのに相違ない。キレイ好きで整頓ずきの彼女は、しかしノンビリと、汚濁の上野に身をまかせている。ほかのパンパン男娼はむれていたが、彼女は一人で、ま....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
である。 人生のがらくたを引っくり返して立ち現れて来る呪うべき壮年期の乾燥と、汚濁よ! 私たちはもう一度貧しき純情をとり戻して、日々を新しい感激の中に生きねば....
良夜」より 著者:饗庭篁村
生なり。馬車の動揺に精神を撹乱し、単純なる空気を呼吸したる肺臓は砂煙りに混じたる汚濁|臭穢の空気を吸い込み、馬車人力車の轟きさながらに地獄の如く、各種商店の飾り....
多神教」より 著者:泉鏡花
れた当人に及ぶと言う。聞くな。聞けば聞くほど、何が聞くほどの事もない。――淫奔、汚濁、しばらくの間も神の御前に汚らわしい。茨の鞭を、しゃつの白脂の臀に当てて石段....
「見ること」の意味」より 著者:中井正一
、一日一日築きあげている技術の人間でもなく、正しかるべき人間が、未来から、ソッと汚濁に満ちたこの現実を鍵穴から覗いているような、「見る存在」になっているのである....
ストリップ修学旅行」より 著者:小野佐世男
り、いやしみとへつらい、讒訴と虚偽を内に秘した、会社の慰安温泉旅行の仮面をかぶり汚濁に満ちた宴会よりも、心もなにも裸にさらし|酒の神と踊りたわむるこの裸の祭典に....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
妹に読ませましょう。トマスは「キリストの模倣」にも出ている隠遁的な、現世の混乱と汚濁とをきらうて、高く純潔なるものを憧るる情に燃えて私に迫りました。 けれどや....
『小さな草と太陽』序」より 著者:小川未明
以てしても、この自由を束縛することができない。 私は、童話の世界を考えた時に、汚濁の世界を忘れます。童話の創作熱に魂の燃えた時に、はじめて、私の眼は、無窮に、....