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汲
「汲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
汲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
い表情を見ると、※をついたことを後悔する、――と云うよりも寧《むし》ろ彼女の心も
汲《く》み分けてくれない腰ぬけの母に何か情無さを感じ勝ちだった。
お鈴は父を送....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ぼんやり纏《まつ》わっていたのに相違ございません。
が、校長は十分私の心もちを
汲んでくれた上で、私くらいの年輩の者が今後独身生活を続けるのは困難だと云う事、し....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
弟子の僧は、指も入れられないような熱い湯を、すぐに提《ひさげ》に入れて、湯屋から
汲んで来た。しかしじかにこの提へ鼻を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を火傷《やけ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
縁側《えんがわ》へ行った。縁側にはもういつもの通り、銅の耳盥《みみだらい》に湯を
汲んだのが、鉢前《はちまえ》の前に置いてあった。
冬枯《ふゆがれ》の庭は寂しか....
「貉」より 著者:芥川竜之介
ない。が、それは恐らく、こんな事から始まったのであろう。――
その頃、陸奥の汐
汲《しおく》みの娘が、同じ村の汐焼きの男と恋をした。が、女には母親が一人ついてい....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
《しゅうし》に何の取柄《とりえ》がございましょう? またそう云う臆病ものの流れを
汲《く》んだあなたとなれば、世にない夫の位牌《いはい》の手前も倅《せがれ》の病は....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
いたしました。」
それから権助は二十年間、その医者の家に使われていました。水を
汲む。薪《まき》を割る。飯を炊《た》く。拭き掃除《そうじ》をする。おまけに医者が....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
部落には、もう燕《つばくら》も帰って来れば、女たちが瓶《かめ》を頭に載せて、水を
汲みに行く噴《ふ》き井《い》の椿《つばき》も、とうに点々と白い花を濡れ石の上に落....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
リシアじん》の云った通り、好悪の外にないのである。我我は人生の泉から、最大の味を
汲《く》み取《と》らねばならぬ。『パリサイの徒の如く、悲しき面もちをなすこと勿《....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
沙汰で甚だ当惑するのでございます。 致方がないから、あの時私は御愛想に滝の水を
汲んで二人に薦めたのでした。―― 『他に何もさし上げるものとてございませぬ。どう....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
湧き出る。天地間の宝蔵は無限であるから、彼は毫も材料の枯渇を患うるには及ばない。
汲めども尽きぬ智慧の泉、採れども尽きぬ思想の宝、世にも幸福なるは、まことの哲人の....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
されません。極かいつまんだだけをお話しても、杜子春が金の杯に西洋から来た葡萄酒を
汲んで、天竺生れの魔法使が刀を呑んで見せる芸に見とれていると、そのまわりには二十....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
の電燈の光に、頭から汗の湯気の立つのが、彼自身にもはっきりわかった。井戸端に水を
汲んでいる女衆や、畑から帰って来る男衆は、良平が喘ぎ喘ぎ走るのを見ては、「おいど....
「初雪」より 著者:秋田滋
「そうでもすれば、すこしは気晴しになると思うんですの」 しかし良人には妻の意が
汲みかねた。 「気晴しッて、それアまた何のことだい? 芝居かい、夜会かい。それと....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
みに小さくうずくまってふくろに顔をあてて泣いていました。 ある朝、マルコが水を
汲んでくるのがおそいといって人足の一人が、彼をぶちました。それからというものは人....