汽缶[語句情報] » 汽缶

「汽缶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

汽缶の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
明暗」より 著者:夏目漱石
た。その後で爺さんがまた云った。 「もっともこの前のあの騒ぎがあるからね。途中で汽缶《かま》へ穴が開《あ》いて動《いご》けなくなる汽車なんだから、全くのところ心....
旅愁」より 著者:横光利一
イからセーヌ河を登って来た蒸気船が、芽を吹き立てたプラターンの幹の間から物憂げな汽缶の音を響かせて来る。城砦のような厚い石の欄壁に肘をついて、さきから河の水面を....
火薬船」より 著者:海野十三
よって発せられた。 虎船長は、かつがれて、船橋へ。すべて非常時のかまえだった。汽缶には、すぐさま石炭が放りこまれた。間もなく蒸気は、ぐんぐん威力をあげていった....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
。倉庫うらに並立する四十女の口紅。いつからともなく棄てられたまま根が生えてる赤|汽缶のかげに、銀エスクウド二枚で即座に土に外套を敷く人妻。草に隠れてその張り番を....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
た。少しずつ噴き出している煙は風のためにちぎれちぎれになっていた。 先ほどから汽缶車が急に喘《あえ》ぎ出しているので、明は漸《や》っとO駅に近づいた事に気がつ....
臨時急行列車の紛失」より 著者:新青年編輯局
それから全く長い間を隔てて、最後にドドーンというような深い地響きが脚下に轟いた。汽缶が爆発したらしい。なぜなれば、その地響きに引続いて、鋭いがちゃがちゃいう音が....
月夜のでんしんばしら」より 著者:宮沢賢治
ゎあんぐゎあんといううなりに変ってしまいました。 汽車がごうとやってきました。汽缶車《きかんしゃ》の石炭はまっ赤に燃えて、そのまえで火夫は足をふんばって、まっ....
智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
。父死後の始末も一段落ついた頃彼女を海岸からアトリエに引きとったが、病勢はまるで汽缶車のように驀進して来た。諸岡存博士の診察もうけたが、次第に狂暴の行為を始める....
玩具の汽缶」より 著者:竹久夢二
はそう言って、山の炭焼小屋の中で、背のびをしました。 「どれ、ちょっくらいって、汽缶車の都合をきいて来ようか」 北山薪炭は、停車場へ出かけました。そこにはすば....
運命のSOS」より 著者:牧逸馬
然として死に面した者も尠くなかった。が、多くは互いに争った。獣類のように争った。汽缶の爆破で一片の肉も止めずに飛散した人、下の救命艇へ跳び込もうとして、ボウトの....
耕耘部の時計」より 著者:宮沢賢治
人の農夫は次《つぎ》から次とせわしく落ちて来る芯を集《あつ》めて、小屋のうしろの汽缶室《きかんしつ》に運《はこ》びました。 ほこりはいっぱいに立ち、午《ひる》....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
おくれやす……もう、こうやかましうては商売が出来まへん。自分の石炭を自分のうちの汽缶にくべて、煙が出るからというて、罰金をとられてはたまりまへん。藁を焚いても、....