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「沈欝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

沈欝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
去年」より 著者:伊藤左千夫
ひとりついてくる。牛疫の牛というのは黒毛の牝牛赤|白斑の乳牛である。見ると少しく沈欝したようすはしているが、これが恐るべき牛疫とは素人目には教えられなければわか....
続獄中記」より 著者:大杉栄
聞いて、顔の皺を延ばした。そして今までは死んだ人の話をするのでもあり、ことさらに沈欝らしくしていた顔色が急ににこにこと光り出した。 「え、ようござんすとも、お安....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
。 杏丸は、まるで浮腫でもあるような、泥色の黄ばんだ皮膚をしていて、見るからに沈欝な人相だった。然し法水は、まず現場検証以前に、失楽園の本体と三人の不思議な生....
運命論者」より 著者:国木田独歩
く》し、悪運の手より脱《のが》れ、身の上の疑惑を懐《いだ》くこと次第に薄くなり、沈欝《ちんうつ》の気象までが何時《いつ》しか雪の融《と》ける如《ごと》く消えて、....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
色になった……富士の鼠色は爛れた……淡赭色の光輝を帯びたが、ほんの瞬く間でもとの沈欝に返って、ひッそりと静まった。 フツ、フツと、柔くて、しかも鋭敏な音を立て....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
たずらずきの次郎がまっさきにひきうけねばならぬはずだが、次郎はなぜかいぜんとして沈欝な顔をしているので、他の人々もしいてすすめなかった。 六月の下旬になると寒....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
くだってくれた。私はまた、喜びと驚愕が胸中に蘇ってくるのを感じたが、こうして私の沈欝さが消え去り、またたくまに、あの致命的な情熱に取り憑かれる前と同じように快活....
」より 著者:島木健作
とをすぐに悟ることができた。その声のあるものは若々しい張りを持ち、あるものは太く沈欝であった。その声を通してその声の主がどこにどうしているかをも知ることが出来る....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
目にこの平原によくある烈しい西風が、今日は朝から雨を誘うて、硝子窓に吹きつける。沈欝な秋の日に乗客はほんの数えるばかり、出札の河合は徒然に東向きの淡暗い電信取扱....
関牧塲創業記事」より 著者:関寛
に何の感も無く、亦|喰物に味無く、只恍惚たるのみ。餘作にも語り合い、此儘にて空く沈欝に陥る時は、或は如何に転変するに至らん乎と、自らも此れを案じ、餘作も共に慰め....
四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
なくいそぐ 十一月十四日 晴――曇、滞在。 寒くなつた、冬が近づいたなと思う、沈欝やりどころなし、澄太君からも緑平老からも、また無相さんからも、どうしてたより....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を見て居る彼の眼前に、何時とはなしにランプの明るい客間があらわれた。其処に一人の沈欝な顔をして丈高い西洋人が立って居る。前には学生が十五六人腰かけて居る。学生の....
霧の中」より 著者:豊島与志雄
すことも多かった。身体の平衡を取り失ってるらしかった。 然し南さん自身は、何か沈欝に考えこんだ様子で、そして泰然と落着きはらっていた。三島さんの伯父さんとかい....
南国太平記」より 著者:直木三十五
と同時に、涙で、眼も、心も、曇ってしまった。 (いけないらしい) と、部屋の、沈欝さから感じると、空も、地も、国中の人々も、天下の誰も、この人の死に対して、首....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
考えも変るだろうと、咄嗟《とっさ》に思いついたのだった。 明は一人になると、又沈欝な顔つきになって、人の好さそうな所長が彼の傍を去ってゆく後姿を、何か感謝に充....