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沈澱
「沈澱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
沈澱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
その早暁《そうぎょう》、まだ明けやらぬ上海《シャンハイ》の市街は、豆スープのように黄色く濁った濃霧の中に
沈澱《ちんでん》していた。窓という窓の厚ぼったい板戸をしっかり下《おろ》した上に....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
素としては普通に水が考えられていた。最古からの経験によって洪水の際には泥土の層が
沈澱することが知られており、この物はいろいろな築造の用途に都合の良い性質によって....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
ることが出来たのであったが、どうしたものか、事件の底に猶消化しきれない或るものが
沈澱しているような気がしてならなかった。このことは、その後、機会があるごとに、自....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
半分ばかりを占領している四ヶ月目の××××××だった。いいかね、その試験管の底に
沈澱している胎児は、その男と、あの可憐なる少女とが、おのれの血と肉とを共に別けあ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
しい男が、駭いた風で、塵箱にかかった男の腕を捉えた。そして部員を促して、毒瓦斯の
沈澱する向うの闇へ、前進していった。 (開けば、塵箱の中の赤ン坊は、直ぐ死ぬだろ....
「赤外線男」より 著者:海野十三
を要することが出来るであろうか。 いや凡そ、あの部屋にいた連中は皆、闇黒の中に
沈澱していたのだ。誰も視力を奪われていた。暗闇で延髄を刺すということは、誰にも出....
「蠅男」より 著者:海野十三
、そして官能的なところもある悪臭だった。彼は歩いているうちに、臭気がたいへん濃く
沈澱している地区と、そうでなく臭気の淡い地区とがあるのを発見した。 (これは案外....
「地球盗難」より 著者:海野十三
を眺めまわした。暗澹たる闇の外に何にもない! と、軽い失望と安心とが学士の胸に
沈澱したと思った――その刹那の出来ごとだった。 何百メートル前方ともハッキリ分....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
んですか。その間、外へ出たようなことはありませんか」 「ありません。始終クラブに
沈澱していました。嘘と思ったら玄関番と携帯品預り係に聞いて下さい」 「しかし玄関....
「露肆」より 著者:泉鏡花
澄まして、咳さえ高うはせず、そのニコチンの害を説いて、一吸の巻莨から生ずる多量の
沈澱物をもって混濁した、恐るべき液体をアセチリンの蒼光に翳して、屹と試験管を示す....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
出る勢。 「一口どうかね。」 と串戯に瓶の底を傾けて、一つ医師が振った時、底の
沈澱がむらむらと立って、煙のように蛇身を捲いたわ。 場所が場所で、扱う人が扱う....
「河霧」より 著者:国木田独歩
郷を忘れ得なかった。いかにかれは零落するとも、都の巷に白馬を命として埃芥のように
沈澱してしまう人ではなかった。 しかし「ひげ」の「五年十年」はあたらなかった、....
「米」より 著者:犬田卯
投げ込んで、そして泥上げである。上流の広い耕地から何時とはなしに押し流されて来て
沈澱するここの泥土は、自然に多くの肥料分を含み、これさえ上げれば大してその部分だ....
「皇帝の使者」より 著者:カフカフランツ
―やっと彼の前には首都が横たわっているのだ。その首都こそ世界の中央であり、世界の
沈澱物で高く積み上げられている。だれ一人としてここをかけ抜けることはできないし、....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
いる、あたりの岩の裂目からも湯が滲み出して、硫黄の華が真黄色な素麺を流したように
沈澱している。立ち留ると草鞋まで熱くなって来る。減水の折は餓鬼谷の出合から右岸に....