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没入
「没入〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
没入の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
つに分けることができる。第一の種類に属する人は、その人の生活全部が純粋な芸術境に
没入している人で、その人の実生活は、周囲とどんな間隔があろうと、いっこうそれを気....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
を理解する可能性は、客観的表現に接触して quid を問う前に、意識現象のうちに
没入して quis を問うことに存している。およそ芸術形式は人性的一般または異性....
「器楽的幻覚」より 著者:梶井基次郎
ながら聴き続けていった。それが終わったとき、私は自分をそのソナタの全感情のなかに
没入させることができたことを感じた。私はその夜床へはいってからの不眠や、不眠のな....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
、なるほどヘルナー山頂は火焔と煙に包まれていた。例の汽船の姿はその煙の中に殆んど
没入していた。さっきまでは煙一筋もあがっていなかったのに、これはどうしたことであ....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
かったのだ。それで水が恐ろしかったのだ。濁水を冒して乳牛を引出し、身もその濁水に
没入してはもはや水との争闘である。奮闘は目的を遂げて、牛は思うままに避難し得た。....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
もっと都合の良い軌道をもった新しい天体を作るか、さもなくば、結局また太陽に墜落し
没入してしまったであろう。このようにして、衝突の保険のつかないような軌道を動いて....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
る傾斜は、天半を断絶して、上なる一端を青空の中へ繋ぎ、下なる一半を、深谷の底へと
没入させている、岩石の散乱した間に、飛散した種子から生えたらしい、落葉松の稚樹が....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
であってはならない。 私はただなぜとも知らず私がかくまで熱烈にまた単純に恋愛に
没入し得る権利があると感ずるのである。私は私が恋愛の天才であることを自覚した。私....
「女性の諸問題」より 著者:倉田百三
スターは賢くはない。むしろ愚かだ。何故なら恋の色彩は多様でもいのちと粋との中心に
没入する者だ。そこでは鐘の音が鳴っている。それは宗教である。享楽ではない。 清....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
えす労働は女に限るということだ。しかし、いかに女が根気がよくても彼ほど一心不乱に
没入はできない。 この根気と、日記を奪って続きをつけはじめた根気とを二ツ合せる....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
行ったのである。その消滅の径路において、彼岸の落日を拝む風と、落日を追うて海中に
没入することと、また少くとも彼岸でなくとも、法悦は遂げられるという入水死の風習と....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
したい――という気持ちから、それを描いて来たのである。 私も現在の絵三昧の境に
没入することが出来るようになるまでには、死ぬるほどの苦しみを幾度もいく度も突き抜....
「娘」より 著者:岡本かの子
自由で、独自で自然であった自分が手もなく擒にされるのだ。添えものにされ、食われ、
没入されてしまうのだ。 何と、うしろからバックされて行く自分の姿のみじめなこと....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
く紊乱した。奥州においては蝦夷の族勢力を恢復して、いったん設置した郡までが夷地に
没入するの情勢となった。かくて奥州では俘囚の長安倍頼時が、今の陸中中部の六郡を押....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
な又は家を捨て妻を捨て娼婦と心中するというような、そういう趣味の為の趣味、趣味に
没入し生命を感ずるというようなことは不合理的社会、いいかえれば、資本主義的社会に....