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沸かす
「沸かす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
沸かすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「運」より 著者:芥川竜之介
その日暮しの貧乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を
沸かすやら、粥《かゆ》を煮るやら、いろいろ経営《けいえい》してくれたそうでござい....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
しょう。」 と小村さんが暗がりの中を探りながら先へ立って、 「いきなり、風呂を
沸かす宿屋が半道と来たんでは、一口飲ませる処とも聞きにくうございますよ。しかし何....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
するかというに、風呂の流し水は何かのわけで、洗い物がよく落ちる、それに新たに湯を
沸かす手数と、薪の倹約とができるので、田舎のたまかな家ではよくやる事だ。この夜お....
「特許多腕人間方式」より 著者:海野十三
であろう。 そこで、このごろは、余ひとりで出勤し、余ひとりで掃除もすれば、茶も
沸かす。結局この方が、気楽でよろしい。 外套を脱ぎながら、ふと気がつくと、入口....
「茶の本」より 著者:岡倉由三郎
の天狗の落とし子のような彼のおいたちがすでに仙人らしい飄逸味に富んでいるが、茶に
沸かす川の水の清さを桶の中から味わい分けた物語のごとき、いやしくも文芸の道に一片....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
いた。あるいは朝まで眠らなかったのかも知れない。いつの間にか水を汲んで来て、湯を
沸かす支度などをしていた。炉にも赤い火が燃えていた。 「お早うございます。つい寝....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
正直に話してください。 (おいよは矢はり俯向いている。正吉は火を焚きつけて、湯を
沸かす支度にかかる。) モウロ (重ねて。)あなたは運の悪い人ですか。それとも罪....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
いので、横田君はそこらの枯枝や落葉を拾って来る。わたしも手伝って火を焚いて、湯を
沸かす、茶を淹れる。こうして午飯を食い始めたのですが、昌吉はまだ帰らない。ふたり....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ねえようだね。きのうここらを掃かねえのかね」 「きのうは葬式《とむらい》で、茶を
沸かすやら、火を起すやら、わし一人でなかなかここらの掃除までは手が廻らなかったか....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
でこの宿屋でたびたび説法をしました。ところが宿の主人は特別に優待せられて毎日湯を
沸かすと一番新湯に入れといってくれるです。それが泊って居る間例のようになって居り....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
は困りました。では白湯なりと戴きましょう」 「差し上げたくはございますが、お湯を
沸かす焚物がございません」民弥はやっぱり相手にしない。 これにはどうやら弁才坊....
「食べもの」より 著者:佐藤垢石
る頬白が、君の姿を見て仲間が来たといって喜ぶという悪口だ。 夕方がきて、風呂を
沸かす。青梨の子供が、着物を脱ぎはじめると、おいおい君、おいおい君、抱き石をやろ....
「新生」より 著者:島崎藤村
らしって頂きましょう」
「サモワアルも今度来る時に持って来ましたよ。あれでお茶を
沸かすと、それはおいしいんですよ」
中根夫婦がかわるがわる話しかける話声も何と....
「足迹」より 著者:徳田秋声
へ出た。台所では、母親がもう働いていた。七輪に火も興りかけていたし、鉄瓶にも湯を
沸かす仕掛けがしてあった。お庄も襷がけになって、長火鉢の掃除をしたり茶箪笥に雑巾....
「縮図」より 著者:徳田秋声
で母は働き、いざ陣痛が来たとなると、産婆を呼びに行く間もなく、泡を喰った父が湯を
沸かすのも待たなかった。次ぎもその次ぎも……。 「この子お父さん似だわ。」 「誰....