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「沸く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

沸くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
、惜しみてもなお余りある百金は、ついに還《かえ》らざるものとなりぬ。白糸の胸中は沸くがごとく、焚《も》ゆるがごとく、万感の心《むね》を衝《つ》くに任せて、無念|....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、城を見て――当人寝が足りない処へ、こう照つけられて、道頓堀から千日前、この辺の沸くり返る町の中を見物だから、茫となって、夢を見たようだけれど、それだって、大阪....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
と怒鳴る。水の輪の拡がり、嵐の狂うごとく、聞くも堪えない讒謗罵詈は雷のごとく哄と沸く。 鎌倉殿は、船中において嚇怒した。愛寵せる女優のために群集の無礼を憤った....
雪柳」より 著者:泉鏡花
日が映すともなく、翳るともなく、漠として、妙に内外が寂然する。ジインと鉄瓶の湯の沸く音がどこか下の方に静に聞え、ざぶんと下屋の縁側らしい処で、手水鉢の水をかえす....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
、あるいは車夫、あるいは巡査、あるいは郵丁を模擬する等、すこぶる奇装を競い、笑声沸くがごとし。後に投票を行い、その多数を得たるものに賞品を与えり。これまた船中の....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
や時速二十ノット! 夜間のこととて、わずかにもれる光に、舷側の白い波浪や艦尾に沸くおびただしい水沫、それから艦内をゆるがす振動音などが乗組員たちの耳目をうばっ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
大いに都民の士気があがった。 錐もみて墜つる敵機や暮の空 錐もみの敵機に沸くや暮の町 敵一機錐もみに入る空の寒さ 墜ちかかる敵機の翼に冬日哉 ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
のに見えた。――議席は満場総立ちとなり、怒号と拍手と口笛と足踏みとで、まるで鼎の沸くような騒ぎだった。この急迫せる事態を鎮圧すべき議長は、まるで置き物のように天....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
起きていました。起きているどころか、炉に炭をつぎ入れ、新しい水の釜をかけて、湯の沸く暇を、炉の前に端座して心を練っておりました。 彼は小姓の通知を受けると、普....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
いつまでも見送っていたが、枯木のような彼は急に若やいだ心持になって、総身の血汐が沸くように感じられた。彼は燃えるような眼をあげて夢ごころに陰った空を仰いでいると....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
もみな退屈そうな顔をしていた。しかも今日の或る芝居に見るような、いわゆる“観客が沸く”というようなことは少しもなかった。土間桟敷は勿論、大向うの立見の観客に至る....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
を汲んで来てそれから湯を沸かす。湯は高い山の上で空気の圧力が弱いから奇態にじきに沸く。沸騰すると茶を手で揉み砕いて入れます。それから茶を煮る時には天然のソーダを....
仇討三態」より 著者:菊池寛
に十五石五人扶持を給うて近習の列に加えられた。 一藩は兄弟に対する賛美で、鼎の沸くようであったが、その中で、鈴木兄弟だけは無念の涙をのんでいた。 人々は幸太....
姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
かに佳饌の趣を呼び、時しも窓外の細雨に、二人は秋声の調べを心に聞いた。鼎中の羮に沸く魚菜の漿、姫柚子の酸。われらの肉膚は、ひとりでに肥るのではないであろうか。 ....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
るより、河岸に居る親戚故旧の人々はワッ/\と声を放って泣叫ぶ。その有様は宛ら鼎の沸くが如く、中にもお町は悲哀胸に迫って欄干に掴まったまゝ忍び泣をして居りまする。....