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油紙
「油紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
油紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
はなし》をせんけりゃ解《わか》らん」 馭者は懐裡《ふところ》を捜《さぐ》りて、
油紙の蒲簀莨入《かますたばこい》れを取り出だし、いそがわしく一服を喫して、直ちに....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
。ともかくもと思って私はナイフでがんじょうな渋びきの麻糸を切りほごしにかかった。
油紙を一皮めくるとその中にまた麻糸で堅く結わえた
油紙の包みがあった。それをほごす....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
を知らない。省作は庭場の上がり口へ回ってみると煤けて赤くなった障子へ火影が映って
油紙を透かしたように赤濁りに明るい。障子の外から省作が、 「今晩は、お湯をもらい....
「赤外線男」より 著者:海野十三
んです、ですけれど……」 ひとには云えないといいながら、白丘ダリアは、それこそ
油紙に火がついたようにベラベラ事件を喋り出した。 簡単に云うと、失踪した伯母さ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
で、過日用心のため、その上にセロファンに糊のついたテープを巻き、さらにその上から
油紙(といっても昔のものとは違い、あぶないものだ)を細く切って巻いておいた。果た....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
でございます」 宇吉は云いながら、蝋燭を差出した。 院長の屍骸は、部屋の隅に
油紙を敷いて、その上に白布をかぶせて寝かしてあった。博士は無言で直ぐにその側へ寄....
「春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
いた。この静けさの中に俗なものは皆洗われて行くような気持ちになった。天幕は持参の
油紙で雪を平にした上に張った。雪の上には青葉をしき、その上に毛皮をならべた。日は....
「春の槍から帰って」より 著者:板倉勝宣
しなかった。私はスキーと共にカンジキを携帯することを絶対に必要とする。 夜営。
油紙の厚いのと、シャベルと毛布(カモシカまたはトナカイ)の寝袋があればいいと思わ....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
十はだんだんじれながら、何重もの包を、つぎつぎにほごしていった。そのうちに最後の
油紙包がとかれて、中からチョコレート色の、五十センチばかりの棒がでて来た。それこ....
「幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
だ。一体それはなんであろうか! 黒リボンの花輪 そのおどろくべき品物は、
油紙につつまれて函の隅にあったので、はじめは気がつかなかったのだ。 佐伯船長が....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
魔法つかいだの、占術家だの、また強盗、あるいは殺人犯で、革鞄の中へ輪切にした女を
油紙に包んで詰込んでいようの、従って、探偵などと思ったのでは決してない。 一目....
「露肆」より 著者:泉鏡花
。 勿論、電燈の前、瓦斯の背後のも、寝る前の起居が忙しい。 分けても、真白な
油紙の上へ、見た目も寒い、千六本を心太のように引散らして、ずぶ濡の露が、途切れ途....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
、他の者の処は知らぬので、左様に取極めたのは石見守の智慧じゃ。そうして切図は薄い
油紙に包み、銘々印籠の二重底に隠し置くという、これもその時の申合せじゃ。そうして....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ようか。」 愛吉は店の箱火鉢を引張り寄せ、叩き曲げた真鍮の煙管を構え、膝頭で、
油紙の破れた煙草入の中を掻廻しながら少し傾き、 「ト、おもしろい談? 鯰が許のか....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
の下で山犬のように吠立って憲政擁護を叫ぶ熱弁、若くは建板に水を流すようにあるいは
油紙に火を点けたようにペラペラ喋べり立てる達弁ではなかったが、丁度甲州流の戦法の....