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波打ち際
「波打ち際〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
波打ち際の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
ものじゃないし、どうだい、こうしている間に、ちょっとこの下のしぶきのかかりそうな
波打ち際を散歩してみないかい」 というわけで、やがてわたし達は、灯台の根元の波....
「暴風雨に終わった一日」より 著者:松本泰
》、その中腹の白い記念塔、岬の先端の兜岩《かぶといわ》、なだらかな弧を描いている
波打ち際、いつも同じ絵であった。ただ、その朝は水平線の上が刷毛《はけ》で刷《は》....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
蚣が海を渡った大蛇を襲うたは一層合点行かぬという人もあろう、しかし欧州西部の海浜
波打ち際に棲《す》む蜈蚣二属二種あり、四十年ほど前予毎度和歌浦の波止場の波打ち懸....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
年前の昔とは、まるで趣が異なる。殊に立秋後の澄んだ明るい空気を透して、朝靄が岬の
波打ち際に白く、またそして淡紅に輝き、南へ南へと続く漁村と松原が、あしたの薄い靄....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
ってしまった。 キャラコさんは庭へ出て、海岸へおりる石段の上まで行って見たが、
波打ち際で走り廻っている大勢のひとの姿が見えるばかりで、何がおこったのかわからな....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
色。ライフ・ガードの大きなメガフォン。きりっとした煙草売り娘。アイス・クリーム。
波打ち際では、三|艘《そう》のカノオが、ゆっくりゆっくり漕ぎ廻っている。 腹い....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
り抜いてあります。危険を慮って、そこにだけはさすがに鉄の鎖で、欄干が設けられて、
波打ち際まで攀じ降りするようになっていますが、しかし私は降りませんでした。降りた....
「句合の月」より 著者:正岡子規
桟橋に別れを惜む夫婦かな」とやったが、月がなかった。今度は故郷の三津を想像して、
波打ち際で、別を惜むことにしようと思うたがそれもいえず。遂に「見送るや酔のさめた....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ね上げて分れて行くのを眺めて、 「オヤ、何だろう」 朱実はまるい眼をしながら、
波打ち際に立って見送っていた。 いちばん最後になった門人の一人は、彼女のすぐ側....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
って、おぞけをふるった。 舟は間もなく、隅田河原の西へついた。河原を上がると、
波打ち際の森の中に、すぐ浅草観音堂の茅葺屋根が見えた。 人々は河原へ降りた。ば....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
一飛躍。 岸壁の断層――数万羽のロッペン鳥、 画面を斜めに仕切った砂浜、
波打ち際の 噴水のごとき飛沫、飛沫、飛沫。 来た、来た。 黒褐の肉体の波、....
「武蔵旅日記」より 著者:山中貞雄
反対の岸へ武蔵の舟も着く。 海岸を巌流を先頭に進む三十有余名。 武蔵も決然、
波打ち際を歩む。 両者相会す。 巌流大刀の鞘を払って、鞘を捨てた。 武蔵も....