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波打つ
「波打つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
波打つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
な松明の灯に照し出される岩肌は、穴の屈曲に従って 拗《ねじ》けた瘤《こぶ》をつけ
波打つ襞《ひだ》を重ねる。岩室がぽっかり袋のように広くなったところもある。洞内の....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
病んだような微妙な線が残されるばかりになった。そうして、隆起したくびれ肉からは、
波打つような感覚が起ってきて、異様に唆《そそ》りがちな、まるで繻子《しゅす》のよ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の(菅女部屋。)で、主税は独酌にして、ビイル。 塀の前を、用水が流るるために、
波打つばかり、窓掛に合歓の花の影こそ揺れ揺れ通え、差覗く人目は届かぬから、縁の雨....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、これも背後から、反射的に彼の肩を掴んだ検事の手があったのも知らず、またそれから
波打つような顫動が伝わってくるのも感ぜずに、ひたすら耳が鳴り顔が火のように熾って....
「光の中に」より 著者:金史良
寧ろ私のような職場の人々に苗字のことでいろいろ気拙いことが多い筈です。だが」彼は
波打つ激情の余り吃り出した。どうして彼はこんなにまで興奮しているのであろうか。「....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
をばいかにして奉ずることができよう。ヘッケルに身慄いして逃げ回った私のどきどきと
波打つ胸をじっと抱えて、私の耳に口を触れんばかりにしてゼームス博士は、Is th....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
ましょう。貴方お帰りなさいますな。 図書 迷いました、姫君。殿に金鉄の我が心も、
波打つばかり悩乱をいたします。が、決心が出来ません。私は親にも聞きたし、師にも教....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
を見しょうな。」 と言うかと思うと、唐突にどろどろと太鼓が鳴った。音を綯交ぜに
波打つ雷鳴る。 猫が一疋と鼬が出た。 ト無慙や、行燈の前に、仰向けに、一個が....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
気だ。」 とまた髑髏を弾く。 「串戯じゃありません。ほほほ。」 「ああ、心臓の
波打つ呼吸だぜ、何しろ、今や、シャッターを切らむとする三人の姿勢を崩して、窓口へ....
「フランダースの犬」より 著者:菊池寛
は二重のよろこびを持てるわけでした。身を切るような寒風の吹き荒ぶその日、ネルロは
波打つ胸をおさえて、いよいよでき上った苦心の画を、牛乳車にのせて、パトラッシュと....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
想を俤にして希望という神の住みたもうがごとく、青年の心これに向かいてはただ静かに
波打つのみ。 林の貫きて真直に通う路あり、車もようよう通い得るほどなれば左右の....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
。 ちょうどそれは、私の心臓のなかで、脈打ちの律動が絶えず変化していくように、
波打つ暑気の峰と谷とだ。はっきりと、しかも不気味にも知覚されるのであった。 し....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
の事件の艇長フォン・エッセンはウルリーケの一人娘朝枝だったのである。 法水は、
波打つウルリーケの肩に、やさしげな手を置いて、 「しかし、どうして僕が、朝枝を犯....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
る、たぶん。しかも、ズボンの縫付袋ですばらしい蕃殖力を示す当時の洒落物は、同時に
波打つ髪に耳飾りの宝石を飾った柔弱人士ではなかったか。そしていろいろの空想や美技....
「茶美生活」より 著者:北大路魯山人
らないのである。みずから専有欲の湧き起こる主観を禁じ得ぬまでに食指は動き、心中は
波打つものである。それが売り立て市にでも出るとなっては、どうしようもなく、物持つ....