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波風
「波風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
波風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
物知りの話――。 しかし、どちらであるにしても、内濠とある以上は、たとい天下、
波風一つ起こらぬ泰平のご時勢であったとて、濠は城の鎧兜《よろいかぶと》、このあた....
「季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
しま》の戦いに敗れた平家の話や、腺病質《せんびょうしつ》の弱々しい少女が荒い世の
波風にもまれている話を聞くとき、その哀れな一種の美しさにうたれます。――それが衰....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
・レペルは多分此の家に住んで居ないでしょう、田舎へ地所を買い、楽隠居として浮世の
波風を知らずに暮らすは何ほどか気安い事でしょう」
述懐し了って、再び第二の鉄扉....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
めに平生余裕をつくる暇がないのだ。つねの時がすでに不安の状態にあるのだから、少し
波風が荒いとなっては、その先どうなるのかほとんど見込みのつかないほど極度の不安を....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
船頭が言いました。 そこで、舟に積んでいる荷物を片端から海へ投げ込みましたが、
波風はなかなか鎮まりそうもありません。そのうちに一人の女が舟に乗って来ました。女....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
れた彼は幸いであった。他の二十七人を乗せた舟がこの渡し場を出ると間もなく、俄かに
波風があらくなったので、舟はたちまち顛覆して、一人も余さずに魚腹に葬られてしまっ....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
せてみると、この今福嬢なるものが、また非常に気の弱いお嬢さんだそうであって、この
波風荒き世にかりそめにも生き伸びて居らるるのがふしぎなくらいだそうであった。 ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
れまで、ぐるりぐるりと長者園の浦を廻って、ちょうどあの、活動写真の難船見たよう、
波風の音もせずに漂うていましたげな。両膚脱の胸毛や、大胡坐の脛の毛へ、夕風が颯と....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
って行ったのであった。 私は父の三十七の時に生れた子だが、父にも母にも色めいた
波風はひとつも起らなかった。それだのに、子供たちにはどうしたわけか恋愛のアフェア....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
りと極まっていれば、どんな嵐も恐れるには及ばない。男の梶のとり方ひとつで、どんな
波風と闘ってもきっと向うの岸へ流れ寄ることが出来る。主人も家来も今更考えるには及....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
女の心、いかばかりか、尚おその上に傷みなむ。坊主には候わず、出家には侍らじ。と、
波風のまぎれに声高に申ししが、……船助かりし後にては、婦人の妍きにつけ、あだ心あ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
明月を漏らし来たるあり。 山よりも高き波間にゆられ行く、船やいづこの岸につくらん
波風のくるふ船路に仰ぎみれば、空行く月もいさましけなる 九日、晴れ。ただし、と....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
の好い、
茂った古木の菩提樹だ。
こんな長旅をして来て、
またあれを見ることか。
波風に、あの沙原へ
打ち上げられた時、
己を舎してくれたのはあの小屋だ。
これが....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
。 このヒステリーは、大抵結婚した女に多いのであります。それは、余り世間の荒い
波風に当らなかったか弱い、あるいは生一本な処女が、家庭を持ってその主婦となり、周....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
だったが、そこへ行くと西巻は、その中の誰よりも年をとりながら、そうした浮世の荒い
波風をほとんどかれ自身のうえに知らなかった。――二十一の夏、いまの師匠の手ではじ....