泣出す[語句情報] » 泣出す

「泣出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

泣出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高野聖」より 著者:泉鏡花
を口に銜《くわ》えて泣くのを見るよう、目もあてられたものではない。 しまいには泣出すと、外聞もあり、少焦《すこじれ》で、医者は恐《おそろ》しい顔をして睨《にら....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
わにして、働いている女もあった。草土手の上に寝かされた乳呑児が、急に眼を覚まして泣出すと、若い母は鍬を置いて、その児の方へ馳けて来た。そして、畠中で、大きな乳房....
」より 著者:島崎藤村
はすべてが取片付けてあって、あまり部屋を飾る物も置いて無い。子供のある家で、時々泣出す声も聞える。六つばかりに成る、色の白い、髪を垂下げた娘が、曾根の傍へ来て、....
二重心臓」より 著者:夢野久作
ないし、帰り道は知らないし、妾、どうしていいかわからなくなっちゃって、モウ些しで泣出すところだったのよ」 「馬鹿だね。エキストラなんかになるからさ」 「そうした....
名娼満月」より 著者:夢野久作
た。ことに播磨屋の千六は町人のボンチ上りだけに、取止めもなく声を放ってワアワアと泣出すのであった。 嵯峨野の奥、無明山満月寺の裏手に、桜吹雪に囲まれた一基の美....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
石の上へペタ/\と坐る。 孝「殿様、とんでもない事をいたしました」 とばかりに泣出す。 飯「静かにしろ、他へ洩れては宜しくないぞ、宮野邊源次郎めを突こうとして....
」より 著者:徳田秋声
いてお出になったそうでね。」 「お爺さんにお金が沢山下ったでしょうね。」上さんは泣出す乳呑児を揺りながら訊いた。 「一時賜金が百三十円に、年金が四十八円ずつでご....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
かれ》の見界《みさかい》はない、皆に喜んで飛付く。初ての人は驚いて、子供なんぞは泣出すのもある。すると、ポチは吃驚《びっくり》して其面《そのかお》を視ている。 ....
虎狩」より 著者:中島敦
行けないんだ。―― ここ迄言って言葉を切った時、私は、ここで彼がもう一度大声で泣出すのではないかと思った。それ程声の調子が迫っていた。が、彼は泣出さなかった。....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
人は 「旦那ア、旦那ア、御新造を始め後のこたア御心配なさいますな」 と男泣に泣出す途端に亥太郎が駈付けてまいりまして、 亥「森松、國藏、旦那は何処に居るん....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
た。成尋はひよわかったので、人に抱せると泣き、自分が抱けば泣止む。寝床へ置いても泣出すので膝の上で寝かせ、高坏を灯台として膝の前にともし、自分は背中を衝立障子に....
三枚続」より 著者:泉鏡花
な、されば宵の一声にお夏が忙わしく立ったのは、あたかも寐かしつけた嬰児が、求めて泣出すのに、嫁がその乳房を齎らすがごとき趣であった。 「お前、寂しいのか。」 ....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
によると「柱でも蚊帳でも総てすうと通り抜けて行く」のであった。奥に寝ていた少女が泣出す。誰かが行って尋ねて見ると「知らない小母さんが来て抱くから嫌だ……」とて、....