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「泣声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

泣声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
はここへ落ちて来るほどの人間は、もうさまざまな地獄の責苦《せめく》に疲れはてて、泣声を出す力さえなくなっているのでございましょう。ですからさすが大泥坊の※陀多も....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
守った。 「笠井の四国猿めが、嬰子《にが》事殺しただ。殺しただあ」 彼れは醜い泣声の中からそう叫んだ。 翌日彼れはまた亜麻の束を馬力に積もうとした。そこには....
一房の葡萄」より 著者:有島武郎
た。ぶるぶると震えてしかたがない唇《くちびる》を、噛《か》みしめても噛みしめても泣声が出て、眼からは涙がむやみに流れて来るのです。もう先生に抱かれたまま死んでし....
溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
いたのはそれからよほどたってのことでした。ほっと安心したと思うと、もう夢中で私は泣声《なきごえ》を立てながら、 「助けてくれえ」 といって砂浜を気狂《きちが》....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
……(寒い風だよ、ちょぼ一風は、しわりごわりと吹いて来る)と田越村一番の若衆が、泣声を立てる、大根の煮える、富士おろし、西北風の烈しい夕暮に、いそがしいのと、寒....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
あてがっても呑もうとしなかった。時々思い出しては大きな声を出した。しまいにはその泣声が少し気になり出して、僕は八っちゃんと喧嘩しなければよかったなあと思い始めた....
婦系図」より 著者:泉鏡花
ず、握拳を挙げてその横頬を、ハタと撲った。 「あ、痛、」 と横に身を反らして、泣声になって、 「酷、酷うござんすね……旦那、ア痛々、」 も一つ拳で、勝誇って....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
感じた。 きれぎれに、 「お恥かしくって、そちらが向けないほどなんですもの。」泣声だし、唇を含んでかすれたが、まさか恥かしいという顔に異状はあるまい。およそ薙....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
。)といってみても返事をしない。そのままうっちゃっておくもんだから、しまいにゃあ泣声で、(私には出来ません、先生々々。)と呼ぶと、顔も動さなけりゃ、見向きもしな....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
いましょう。」 詮方なげに微笑みたまいつ。果は笑いとこそなりたれ、わがその時の泣声の殺されやすると思うまで烈しき悲鳴なりしかば、折しも戸に倚りて夕暮の空を見た....
黒百合」より 著者:泉鏡花
。されるのはこっちが悪い、意気地なしのしみったれじゃアあるけれども。」 お雪の泣声が耳に入ると、若山は、口に蓋をされたようになって黙った。 二十....
人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
え上がりましたが、それはただ、すみ切った水のようにみえました。 *わにはこどもの泣声に似た声をだしておびきよせるという西洋中世のいいつたえがある。 「さあ、でき....
三枚続」より 著者:泉鏡花
遊びに出て、思い出すまでは家に帰らず、大切な客を断るのに母親は愚痴になり、女房は泣声になる始末。 またかい、と苦笑をして、客の方がかえって気の毒になる位、別段....
式部小路」より 著者:泉鏡花
でむずと鷲掴み、すらりと開けたが片手|業、疾いこと! ぴっしゃりと閉ると、路地で泣声。 「御免なさい、御免なさい。」 というのが聞える。膝を立てて煙管をついて....
活人形」より 著者:泉鏡花
乱して遁げ出づれば、縛の縄の端を踏止められて後居に倒れ、「誰ぞ助けて、助けて。と泣声|嗄らして叫び立つれば、得三は打笑い、「よくある奴だ。殺して欲いの死にたいの....