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「泣虫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

泣虫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
女の決闘」より 著者:太宰治
も、それ以上は発育しない不具者なのね。純粋とは白痴のことなの? 無垢《むく》とは泣虫のことなの? あああ、何をまた、そんな蒼《あお》い顔をして、私を見つめるの。....
酒中日記」より 著者:国木田独歩
手《うわて》、 「何が余《あんまり》だね、それは此方《こっち》の文句だよ。チョッ泣虫が揃《そろ》ってら。面白くもない!」 自分は形無し。又も文句に塞《つま》っ....
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
いります」 と云いながら隔の襖を明け、 兼「なんだかお堅い事ねえ、本当に嬢様は泣虫ですよ、お気が小さくっていらっしゃいますから、あなた不憫と思って時々逢って上....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
たるか。 十九 「泣いてばかりいますから、気の荒いお船頭が、こんな泣虫を買うほどなら、伊良子崎の海鼠を蒲団で、弥島の烏賊を遊ぶって、どの船からも投....
C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
したかと思っても、其の微妙な色彩の何処にか、必ず変化が来て居ります。其が、完く、泣虫寺のおしょうの見たように踊り廻り、とっ組み合い、千変万化の姿態で私の前に現れ....
小公女」より 著者:菊池寛
ていたのでしたが、とうとう転んで丸い膝をすりむいたのでした。 「たった今お黙り、泣虫坊主! 早く黙らないか!」と、ラヴィニアがいいました。 「わたい、泣虫じゃな....
枯菊の影」より 著者:寺田寅彦
と目指されて、行軍や演習の時など、ずいぶん意地悪くいじめられたものだ。実際弱虫の泣虫にはちがいなかったが、それでも曲った事や無法な事に負かされるのは大嫌いであっ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
って何だって、恭ちゃんなんかに負けるもんですか。……恭ちゃんはね、そりゃ学校では泣虫なのよ。あんな泣虫、乳母やは大きらい。次郎ちゃんはきっと泣かないでしょうね。....
町内の二天才」より 著者:坂口安吾
ありましたよ」 「小学校が一しょかい」 「ええ、そうですとも。魚屋の金公といえば泣虫の弱虫で有名なものでしたよ。寝小便をたれるヘキがありましてね。奴めの亡くなっ....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
を通り越して急に悲しくなった。彼女は振袖に顔をうずめて縁に泣き伏した。 「はて、泣虫め。そのような弱虫が白柄組の侍の女房になれるか」 ここぞと思って、お菊は泣....
落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
片づけられて、その運命を自然と見るわけにはいかないらしい。 キンカの野郎は弱虫泣虫であるが、その母親に当るオカカは気が荒かった。気質の遺伝というものは解しがた....
松井須磨子」より 著者:長谷川時雨
この二、三年のことですよ、先生もほんとに愉快そうですわ」 といったりした彼女が、泣虫になったのはあたり前である。むしろ笑いが残っていたのが怪しいほどだ。 恋人....
あなたも私も」より 著者:久生十蘭
澗で泳いだ「お別荘組」のひとりだった。春ごろ、日比谷の近くで会ったが、あのときの泣虫の子供が、ひとかどのおとなになって、口髭《くちひげ》をはやしているのには、笑....
夜の構図」より 著者:織田作之助
の涙はすぐとまった。そして、 「――会えてうれしかったから、泣いたのよ。あたし、泣虫でしょう……? うふふ……。でも、うれし涙よ」 信吉はほっとした。 しか....
幼年時代」より 著者:室生犀星
笑って信じなかった。姉の前では、優しい姉の性情の反射作用のように温和しく、むしろ泣虫の方であった。私が学友から一人離れて帰途をいそぐときは、いつも姉の顔や言葉を....