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泥まみれ
「泥まみれ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泥まみれの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
《あしだ》を出すようにと云った。そこへ大阪のN君が原稿を貰いに顔を出した。N君は
泥まみれの長靴《ながぐつ》をはき、外套《がいとう》に雨の痕《あと》を光らせていた....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
て、僕たちが何日かを忙しい中に暮らした事務室を去った時、窓から首を出して見たら、
泥まみれの砂利の上には、素枯れかかった檜《ひのき》や、たけの低い白楊が、あざやか....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ていた。広岡の妻も背に赤ん坊を背負って、早口にいい募っていた。顔を血だらけにして
泥まみれになった佐藤の跡から仁右衛門が這入って来るのを見ると、佐藤の妻は訳を聞く....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ッと飛び出して来た。言わずと知れた「狼」の配下の者だった。 「狼」も運転台から、
泥まみれになって降りて来た。その手には、ブローニング拳銃を握って、こっちを睨んで....
「地中魔」より 著者:海野十三
いところへ連れてゆくだろう。外では「岩」が全速力の機関車にひきずられて、眼も口も
泥まみれになって、虫の息だった。地底機関車は、マンマと三吉少年に占領されてしまっ....
「雪魔」より 著者:海野十三
ほっと安心して、灯を持って彦太のところへ近づいた。彦太は両手をはじめ膝のあたりを
泥まみれにして起上るところだった。 そのとき五助は、彦太の足もとに小さい手帳が....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
それは中国服ではなく、タキシードであった。しかしひどく汚れていた。上も下も胸も、
泥まみれになっていたうえ、肘のところは破れ、ズボンにも、かぎ裂きのような箇所があ....
「○○獣」より 著者:海野十三
掘り出して喰べようというわけだ。お前も手伝ってくれれば、一切れ呉れてやるよ」 「
泥まみれのパイなんか、僕は好きじゃないんだよ。ねえドン助さん。それよか、もっと重....
「東京要塞」より 著者:海野十三
てすっかり救命者になって、酔漢を助けながら、のそのそと堀から上ってきた。二人とも
泥まみれの濡れ鼠であった。 「おーい、しっかりしろ。どうしたんだ。傷は浅いぞ。い....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
住んでいた緑町の方へいってみた。惨状は聞いたよりも何十倍何百倍もひどかった。全身
泥まみれとなり、反面にひどい火傷を負った男がフラフラと歩いていた。これに聞くと、....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
い。素足に染まって、その紅いのが映りそうなのに、藤色の緒の重い厚ぼったい駒下駄、
泥まみれなのを、弱々と内輪に揃えて、股を一つ捩った姿で、降しきる雨の待合所の片隅....
「転機」より 著者:伊藤野枝
いる袖の長い着物が、その時ほど恥ずかしくきまりの悪かったことはなかった。足だけは
泥まみれになっていても、こんなにも自分が意気地なく見えたことはなかった。甲斐々々....
「初雪」より 著者:秋田滋
ら、耕地のさまざまな仕事に追われていた。そして、良人は毎日、嬉しそうな顔をして、
泥まみれになって屋敷へ帰って来ると、両手をごしごし擦りながら、こう云うのだった。....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、お魚よ。) (鮒のようだ。) 掌には、余るくらいなのが、しかも鰓、鰭、一面に
泥まみれで、あの、菖蒲の根が魚になったという話にそっくりです。 これで首くくり....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
軽様」の溝へ転げこんでいた。同時に又若侍はいつかどこかへ見えなくなっていた。父は
泥まみれになったまま、僕の家へ帰って来た。何でも父の刀は鞘走った拍子にさかさまに....