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泥んこ
「泥んこ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泥んこの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
てくる。この男があの人だったら……コッケイな男の顔を自動車に振り捨てたまま、私は
泥んこの道に降り歩いた。紙一重の昨夜のつかれに、腫《は》れぼったい瞼を風に吹かせ....
「昔の火事」より 著者:宮本百合子
朝早くから夕方まで、例のおとなしい顔の若い男がやって来て、人夫を指図し、自分でも
泥んことなってかたい古い赭土の表面へ黒い布をはいだようなところを掘っている。中学....
「未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
き》れたらしい声だった。 「ほらね、お母ちゃん。兄《にい》ちゃんの顔、あんなに、
泥んこだよ」 「一郎、朝っぱらから、なにをしているのです」 「僕は今、……」いお....
「小公女」より 著者:菊池寛
往来がじめじめして来ると、私の務は辛くなるばかりだわ。ラヴィニアったら、私が裾を
泥んこにしているって、嗤うのよ。私、思わずかっとして、危く何かやり返してやるとこ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
き流れ、私はその様々な音を聴き、未来の瀬のはっきりきき分けられない音を子供たちの
泥んこの顔に感じているというわけです。 七月十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林....
「発掘した美女」より 著者:坂口安吾
ハン、ワラジ。そんなことを云ったって、用意のないものは仕方がない。 「いいわよ、
泥んこになったッて」 「それじゃ、ワラジだけ穿きなさい」 よそから二人の足に合....
「桜の園」より 著者:神西清
にあります? それは小説に出てくるだけで、実際は全然ありゃしない。あるのはただ、
泥んこと、俗悪と、アジア的野蛮だけだ。……僕は、真面目くさった顔つきが、身ぶるい....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
ている。 此男があの人だったら……コッケイな男の顔を自動車に振り捨てたまゝ私は
泥んこの道に降りた。 紙一重の昨夜のつかれに、腫れぼったい瞳を風に吹かせて、久....
「諦めている子供たち」より 著者:坂口安吾
風土的、気質的な考え方で、つまり女子の性行をもって男子に当てはめ、男の子が屋外で
泥んこに遊ぶようなのは悪事だとすら考え、屋外で遊びたがる子は末おそろしき子だぐら....
「決闘」より 著者:神西清
ぎないとか言いわけをするにきまっている。あんな男は打っ棄ってしまい給え、頼むよ。
泥んこから身を引き給え。両手で
泥んこを掻き廻すような真似はやめにし給え。」 サ....
「妖婦」より 著者:織田作之助
にいらないことがあると、キンキンした疳高い声で泣き、しまいには外行きの着物のまま
泥んこの道端へ寝転ぶのだった。欲しいと思ったものは誰が何と言おうと、手に入れなけ....
「夢がたり」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
が総勢すぐって十三匹の子豚を引きつれて、小川の岸へおりて行って、ぶくぶくした黒い
泥んこの中にうずくまってしまいましたので、泥の中から見えるものといったら、ブウブ....
「樹氷」より 著者:三好十郎
で僕等と同じ年頃の青年だよ、それがただ貧しく生れついたと言うだけの理由でああして
泥んこになって働らくだけで本一冊読めはしない。これは君、いかになんでもあんまり不....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
ところがどうだ、この十年ほどの俗っぽい下劣な生活のおかげで、まんまとわれわれも、
泥んこの中へ引きずり込まれてしまったじゃないか。その毒気に当てられて、僕たちは骨....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
残っている十人ほどの牢人もみな血まみれ。あたりの大地、あたりの草、すべてが朱く
泥んこになって、吐き気を催すような血腥さいものが漲ると、それまで支えていた牢人た....