泥塗[語句情報] »
泥塗
「泥塗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泥塗の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少女地獄」より 著者:夢野久作
はや》く報道したる処なるが果然、同校長は昨三日早朝、大阪市北区中之島付近の往来に
泥塗れの乱れたるフロック姿を現わし、出会う人毎に「火星の女は知りませんか」「ミス....
「白菊」より 著者:夢野久作
噛んで、荒い鼻息を落ち付けていたが、そのうちに彼は思い出したように眼を見開いて、
泥塗みれになった両掌を、腰の荒縄の上にコスリ付けた。その掌で、鬚だらけの顔を撫で....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
したわ。」 「するとこれが、踏み躙った婚礼の象徴なんですね。」法水はポケットから
泥塗れに潰れた白薔薇を取り出して、「たぶん姉さんのでしょうが、この髪飾りが、振綱....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
高張の白提灯の仕度をしたり、青竹のもとを鉈で削いだりして居る。
二人|挽の車が
泥塗になって、入って来た。車から下りた銀杏返の若い女は、鼠色のコオトをぬいで、草....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
が清算されねばならぬ機会が来たのだ。ポカンの足下に横たわるポカンの脳髄と同様に、
泥塗みれになって終わねばならぬ時機が来たのだ。
……ポカンはこの十字街頭に於て....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
冷え切った身体は岩間の温泉で温める。馬にさえ「馬の温泉」というものがある。田植で
泥塗れになった動物がピカピカに光って街道を帰ってゆく。それからまた晩秋の自然薯掘....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
茫然立っていた。刺子姿の消火夫が忙がしそうに雑沓を縫って往ったり来たりしていた。
泥塗れのビショ濡れになってる夜具包や、古行李や古|葛籠、焼焦だらけの畳の狼籍して....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
あいて……あれ、あんなに人が立っている。)うららかな朝だけれど、路が一条、胡粉で
泥塗たように、ずっと白く、寂然として、家ならび、三町ばかり、手前どもとおなじ側で....
「イタリア人」より 著者:寺田寅彦
た日には庭一面におしめやシャツのような物を干す、軒下には缶詰の殻やら横緒の切れた
泥塗れの女下駄などがころがっている。雨の日には縁側に乳母車があがって、古下駄が雨....
「五月の唯物観」より 著者:寺田寅彦
それを種に仕組んだ芝居が町の劇場で上演されたこともあったようである。 これらの
泥塗事件も唯物論的に見ると、みんな結局は内分泌に関係のある生化学的問題に帰納され....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
。ローマも同じ気質を持っていた。ローマはネロを愛していた。しかるにネロは巨大なる
泥塗り人であった。
さて、前に言ったとおり、婚礼の行列が大通りの右側に止まった....
「地上」より 著者:島田清次郎
平一郎をよく憶えていたから、同じ平一郎を市子が知っていることを不快に思ったのだ。
泥塗れの中に育っても少女の純真さは、毎夜の、酒を飲んで悪巫山戯する多くの男達を記....
「瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
戒心あるにもかかわらず、数十の生徒を伴い跣足率先して池水を汲ては門前に運び出し、
泥塗満身消防に尽力せらるること一霎時間、依て辛うじてその災を免れたり。その後|暴....
「穀神としての牛に関する民俗」より 著者:中山太郎
故に、継ぎて産死の穢あり(中略)。後漢書に、以牛祭神とあり、広洲記に殺牛取血、和
泥塗右手背祀とあり、これら神も真の神にあらず、牛馬も穢とせざるなり。天竺にては、....