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「注ぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

注ぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
うがく》とを代る代る醜い顔に表しながら、ただ、漫然と自失した眼《まなこ》を相手に注ぐよりほかはなかった。 その内に猪首の若者は、とうとう大岩に背《せな》を圧《....
捨児」より 著者:芥川竜之介
心の底に、蟠《わだかま》っていたのに違いありません。殊に女は赤子の口へ乏しい乳を注ぐ度に、必ず東京を立ち退《の》いた晩がはっきりと思い出されたそうです。しかし店....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
て満悦の感に浸っていたときには、太陽は未来永劫不断にそれを巡る諸遊星に生命の光を注ぐであろうという希望に生きていたことであろう。彼には太陽系内における状態は常に....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ら暖かき田圃のおちこち、二人三人組をなして耕すもの幾組、麦冊をきるもの菜種に肥を注ぐもの、田園ようやく多事の時である。近き畑の桃の花、垣根の端の梨の花、昨夜の風....
天守物語」より 著者:泉鏡花
たる高き天守の棟に通ずる階子。――侍女等、飛ぶ蝶の行方につれて、ともに其方に目を注ぐ。 女郎花 あれ、夫人がお帰りでございますよ。 はらはらとその壇の許に、振袖....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
盞を捧げて出づ。女房盞を取って、公子と美女の前に置く。侍女退場す。女房酒を両方に注ぐ。 女房 めし上りまし。 美女 (辞宜す)私は、ちっとも。 公子 (品よく盞....
古狢」より 著者:泉鏡花
ったよ。その方がよかったんだよ。相済まなかったよ。」 今度は、がばがばと手酌で注ぐ。 「ほほほほ、そのせいだか、精進男で、慈姑の焼いたのが大好きで、よく内へ来....
転機」より 著者:伊藤野枝
した。 私がそれ等の書物から知り得た多くのことは、私の最初の感じに、さらに油を注ぐようなものであった。その最初から自分を捉えて離さない強い事実に対する感激を、....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
した、そんなら私、わざと頂いておきますよ。(と帯に納めて、落したる髷形の包に目を注ぐ。じっと泣きつつ拾取って砂を払う)も、荷になってなぜか重い。打棄って行きたい....
南地心中」より 著者:泉鏡花
凭れて、乗出して舞台を見い見い、片手を背後へ伸ばして、猪口を引傾けたまま受ける、注ぐ、それ、溢す。(わややな、)と云う。 そいつが、私の胸の前で、手と手を千鳥....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
まぬ。彼は対者の意見などには頓着せぬ。彼はただ対者の欠陥を察し、これに智慧の光を注ぐことを以て、畢生の念願とする。それが真の仁者である。が、世には往々仁者の偽物....
多神教」より 著者:泉鏡花
きつつ)山犬か、野狐か、いや、この包みました皮は、狢らしうござります。 一同目を注ぐ。お沢はうなだれ伏す。 神職 鏡――うむ、鉄輪――うむ、蝋燭――化粧道具、紅....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
私の饒舌った意味を取違えているようだけれど、いいさ、珍らしく飲むのも可かろう……注ぐよ。」 「なみなみと。もう一つ。もっと、もう一度。」 歯ぎしみするように、....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
「や!」 響くは凄じい水の音、神川橋の下を潜って水門を抜けて矢を射るごとく海に注ぐ流の声なり。 「念入だ、恐しい。」と言いながら、寝返の足で船底を蹴ったばかり....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
うに袖を撫でた。その透切した衣の背に肩に、一城下をかけて、海に沈む日の余波の朱を注ぐのに、なお意気は徹って、血が冴える。 「でも、一生懸命ですわ。――ここを話し....