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泪
「泪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
に背きましょうか、どうも有難うございます」 僕は感激のあまり、畳の上へほろほろ
泪を落した。 尼僧は僕に一杯の白湯をふるまったあとで、 「ではもうお疲れでしょ....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
かもしれないが、B子夫人も普通の婦女とおなじく、この昔風な狂言暴行を疑いもせで、
泪を流して僕に感謝したばかりか、記念のためというので、奇妙な彫の指環まで贈物とし....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
「そりゃいよいよ感心ですね」 「うちのばあさんは、これは清二にしちゃ変だと云って
泪ぐむし、みどりはみどりで、どうも気味がわるくて喰べられないというしサ、わしゃ、....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
少し痛いが、辛抱しろよ」 と医務長は云った。なるほど手術は痛くて、蚕豆のような
泪がポロポロと出た。 独房へ帰って来ても、痛くて起上れなかった。このままでは、....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
五月六月遅配と欠配、食糧難深刻、餓死者続出、附近の家々も最後の最悪の事態に陥つ、
泪なしには見られず聞かれず。 六月七月小喀血の事 ◯六月二十九日正午過ぎ、痰が....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
はないのです。私はどうしてよいのやら全く途方に暮れてしまいました。ポロポロと熱い
泪が、あとからあとへ流れて出ます。私はもう怺えきれなくなって、ひしと兄の身体に縋....
「雷」より 著者:海野十三
人北鳴四郎があるばかりだった。兄弟は、夢とばかりに抱きあって、悦びにあふれてくる
泪を、せきとめかねた。 それにしても、なぜ北鳴四郎は雷撃にあって死んだのだろう....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
しにいとも朗かな声をかけた。しかし、愕いたことに、ミチミの声に反して彼女の眼には
泪が一ぱい溜っていた。 「大丈夫。気をつけて行くんだよ」 彼はミチミを励ますた....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
の吹雪になった。が、寒さも冷たさも猟夫は覚えぬ。ただ面を打って巴卍に打ち乱れる紛
泪の中に、かの薙刀の刃がギラリと光って、鼻耳をそがれはしまいか。幾度立ちすくみに....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
出しては別に何とも申しませんでしたが、それでも女は矢張り女、小蔭へまわってそっと
泪を拭いて長太息を漏らしているのでございました。 『いつまでも老いたる両親に苦労....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
り込んで行く。その間彼のあわれなる妻子は、飢えたる腹をかかへて、言い知れぬ悲嘆の
泪に暮れるばかり、守護の天使とても、境涯の懸隔は、これを如何ともするに由なく、た....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
。封筒の上には大きな文字で太く私の名が書かれてある。それを見ていると私の双の眼に
泪が一ぱい涌いて来た。その手紙は私のいちばん親しかった青年時代の友から来たものだ....
「初雪」より 著者:秋田滋
めていると、彼女はわけもなく泣けて来るのだった。いくら泣くまいとしても、やッぱり
泪がわいて来た――。 そこへ良人が這入って来た。妻が泣いているのを見ると、良人....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
ると、彼等はきまって足をとめた。神のお引合わせということもある。無慈悲な運命にも
泪はあろう。あるとも思われないような万が一の※り合わせということも世間にはある。....
「税所敦子孝養図」より 著者:上村松園
は、税所敦子女史の、この至高至純の美しい心根を画布に写しながら、いく度ひとしれず
泪をもよおしたか判らなかった。夫の没後、わざわざ遠い薩摩の国に下って、姑のために....